最近の株式市場を考える

作成:平成11年2月21日
アップ:平成11年2月22日

日経平均は1万4000円をはさんで膠着商状(商いの状態)となっている。政府・日銀による金融緩和措置(長期金利の抑制目的)、大手銀行にたいする公的資金による資本注入、株式受け皿機関をはじめとした持ち合い株対策への取り組み、もう一段の景気対策期待といったプラス要因と、個人消費の落ち込みをはじめとする景気の悪化(98年10−12月のGDPもマイナスへ)、円高・需要減による収益の下方修正、持ち合い株の実需売り、海外の不透明要因懸念などのマイナス面をどう評価するかに迷っている段階といえるだろう。

店頭株や二部株の一部に値を上げるものが目立っている。一部の評論では過熱感のみを指摘し、注意を促すようなことも書かれているが、それは誤りだ。いくつかの点をおさえて今後の展開を考えてみたい。

第一に、日本オラクルに代表されるハイテク、インターネット関連と一緒にしてはならない。ハイテク、インターネット株はPERが100倍以上でも妥当ととらえる熱狂(砂上の楼閣!)状態であるのにたいし、最近上昇している小型株はPERが10倍前後、PBRは1を割るという割安水準に放置されすぎていた修正局面であるということ。

第二に、持ち合い解消売りが少なく、需給面での不安が少ないこと。

第三に、オーナーやたたき上げ経営者が多く、不景気の下で不退転の決意で経営改革に取り組んでいる姿が見える(サラリーマン経営者との違い)こと。

よって、人気株のバリュエーションはやや高くなっているが、それ以外の銘柄はまだ水準訂正の時期であると考えるのが妥当であろう。

全体は膠着商状(商いの状態)ながら、自然体で臨むとなれば下値リスクに備えるべきであろう。日経平均株価の上限は1万5000円が精一杯であり、無理をして買う必要もない。強力な買い場は年内に訪れるが、ただし政府の強力なPKOが昨年と同様に控えているところであり、リストラ関連株を拾っていくことは、今の動きに現れているように、正しい方策と思われる。

日本株式、経済状態は根本的な改革を必要としている。それがおこなわれなければ(今の既得権が残っているところでは)、立ち直りは難しい。

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