
平成11年2月5日
日本の政治・株式市場にたいする克美の雑感
☆自自連立政権の誕生、60兆円の金融問題に対応するための公的資金、24兆円の景気対策が決定され具体化するなかで、住宅の駆け込み需要および政府、経営者の景気ボトムアウト感の認識が広まり1月5日のザラ場安値を底に平均株価は反発した。
☆特に、予想を上回るスピードで合併、提携等再編が進む金融株、夏以降の本格回復が期待される半導体関連株がリード役となったが、個人投資家の資金が一部流入し、個別材料株も久々に賑わいを見せている。
三菱重工の動向に注意−今後の企業動向を測る指標として
☆ 三菱重工の株価動向を追ってみたい。ある大手調査研究所のアナリストが株価格付けをニュートラルからアウトパフォームに引き上げた。理由は、資産圧縮、キャッシュフローに対する意識の高まりでバランスシートに対する考え方が変化したこと、また技術力およびモノ作りの強さが過小評価されているという。
☆ 同社は雇用中心主義、株主軽視の経営姿勢として、マーケットから厳しい批判を受けた。日本的経営の代表的スタイルとも揶揄された。だが、バランスシートにおいては市場の要求に近づきつつも、しかし、知、技術の集積という同社の強みは日本的経営から創造されたことをマーケットに逆に問い掛けているように見えるからだ。
21世紀を担うインターネット
☆米国のインターネット関連株の熱狂ぶりは相当異常に思えるが、世界的な情報化社会の進化は産業革命並みの大変革であることは疑いのない事実であろう。最近、秋葉原の電気街を歩いたら音声認識ワープロの変換能力の凄さやスキャナーによる文字読み取り技術に驚かされた。
本年3月までは、株式市場は政治要因によって動く
☆政府要人が繰り返し発言しているように景気、株価ともに1月から3月迄が勝負で、問題を再び先送りしながらも、なりふり構わぬ対策が特に株式市場で今期末も行われるだろう(昨年の失敗を教訓と出来るのだろうか)。それが話題となっている株式取得機関や不動産買取り機構などで、下支え要因としては機能しそうだ。
☆ただ、 期末(本年3月)にかけて株価が上昇すればするほど持ち合い解消売りが増加することに加え、先物のヘッジ売りの増加、海外市場からの外的ショックや企業倒産という信用リスクにかなりもろい市場であることも忘れてはなるまい。
引き続き円高と金利の上昇(債券の急落)には注意が必要
☆長期金利の上昇圧力と円高は引き続き注意が必要だ。金利はマーケットが政府の量的かつ無節操な財政支出拡大に強く警告を発するとみられるほか、為替は、期末の本邦投資家の実需、グローバル・キャリー・トレード※の手仕舞い売り、中南米情勢等から目先は円高に振れ易いと思われる。それに伴う景気への悪影響も気になるところ。
※グローバル・キャリー・トレード:
☆ヘッジファンドの有力な資金調達・運用手法とされる取引で、金利の低い通貨(例えば円)で資金調達して、金利の高い通貨で運用して利ザヤを稼ぐ手法。
☆例えば、中期的に日本の超低金利・円安が続くと予測し、円資金を調達したあとでそれをドルに換えて、米国債や株式などに投資するもの。 また、より高いリスクを取るファンドは、その資金をロシアや中南米などの新興諸国の国債などを購入していた模様。
銘柄選択のヒント
☆一方、銘柄選択の方向性もつかみにくい。急ピッチな上げとなった半導体や金融株のみで相場を牽引するのは難しく、情報通信の核であるNTTが暫く鍵を握りそうだ。1年を通じてのテーマとしては、制度上整いつつあるなかでの経営改革、業界再編、M&Aに尽きるので、その辺から中長期スタンスで銘柄選定をすべきだろう。
克美の推奨する銘柄
・ 住友ゴム(東証一部、ゴム製品=5110)
・ NTTデータ(東証一部、サービス=9613)
・ ファーストリテーリング(東証二部、商業=9983)
・ 三洋電機(東証一部、電気機器=6764):現在企業改革推進中。※三洋電機以外のコメントについては「ズバリ株」へのリンクをご利用ください
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