6月の株式市場の見通し

6月の想定レンジは1万5800円から1万7500円 、ダブルトップを目指す

平成11年6月3日

5月の株式市場の振り返って

5月の株式市場は、月初に高値である1万7300円をつけて調整局面に入った。米国の金融マーケットにインフレ懸念が生まれ、米国株が下落、中南米市場にも一部波及したことから外人投資家の日本株スタンスに若干変化が見られたのがきっかけだった。
また、国内要因としては、


1. 短期急騰によりテクニカル面で過熱感が生じた、
2. 決算発表がピークで動きづらかったのに加え、
3. 決算の内容を吟味するとマーケットの期待と足元の企業収益及び景気動向といった現実とのギャップが投資家に認識された

ことであろう。ただ、6月の株式需給関係も相対的に良く、押し目買い吹き値売り※で対応すべきと考える。

※吹き値売り:株価が吹き上げるように急騰したときには、ひとまず売っておこうという気分から売り物が出ること。

これからの株主総会の動向には要注目

6月のポイントの一つ目は株主総会の動向だ。外資系企業では総会で反対票を投じることが珍しくなかったが、日本の生命保険や信託銀行も揃って今年から株主議決権を行使する見通し。日本もようやく形式上の「シャンシャン総会」を脱し、株主のための真の総会を開催することとなりそうだ。

一方、米国の主要企業に比べ日本企業は時価総額の低さ(ソニーや本田技研等は時価総額増加、すなわち株価上昇経営を目指している)が目立つ。株式交換制度の施行、連結納税制度の導入と株式の持ち合い解消が進んでいくなかで、今後はM&A※の危険性にさらされていくことになるだろう。
  
それに加え、総会で株主を意識しなければならなくなったことは、マーケットが要求している株主重視経営を経営者に促すきっかけになり得るのではないか。この視点から見た指標銘柄は、キャッシュリッチなファナックだ。

※企業買収のこと

やはり株式市場の中心テーマはリストラ・マネジメント改革

二つ目はやはりリストラの進展度合いが鍵だ。東京三菱銀行を始めとして、財閥の代表である三菱グループの各企業に経営改革の意気込みが感じられるようになったため、日本企業は相当変化していると総括出来そうだ

ただ、公的資金投入による金融の再生は現実的な好材料として、また産業の再生は期待感といったものが既に個別の株価に織り込まれているのも事実と思われる。株価が一段の上値を追うための条件としては、産業の再生が現実化していく過程を見極める、すなわち個別企業のリストラがより進展することが必要だろう。

自民党総裁選

三つ目は、自民党総裁選(9月頃に予定されている)と衆議院解散総選挙の時期、および足元の景気悪化を鑑みながら、政府がいつ、そしてどのような追加の景気対策を打ち出すかとなるだう。6月10日前後に予定されている包括的な産業再生策はもちろん、日銀の量的緩和の実施と大規模な補正予算の編成は市場が常に催促してくる。

海外情勢

四つ目は海外情勢だ。米国が金融政策を引き締め気味に変更したことは、資金の流れに微妙な変化を与える可能性がある。経済指標を吟味しておきたい。

結論

一つには受給関係が良いこと、二つに売り材料が乏しいこと、三つに決算の動向から個別企業のリストラを評価すること、最後に景気対策期待から、克美は今月の想定レンジは1万5800円から1万7500円 ダブルトップを目指す、とみる。 

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