株式市場の見通し

平成11年6月24日

株式市場の概況

平均株価は1ヶ月前の大方の見方より強く、1万7000円台半ばに達した。

予想以上に日本のGDPが好結果となった、NY市場の好調さを背景に外人買いが入った個人も、100株単位の銘柄の株価上昇や低位株の底上げで復活途上にある。また国内の機関投資家の新年度資金が値がさ株や優良株を買い好循環となっている。

需給関係がいまだ良く見えるのに加えて、7月の5日発表の日銀短観(日本経済の回復が確認される)などファンダメンタルズで売り材料は当面乏しく、騰落レシオの過熱感もまだなく(25日線)、相場は当面は強含みの展開が想定される。しかし、1万8000円を超えるには様々な壁が存在するため一本調子の上昇は難しい。

1万8000円どころを暫く上値と考え、ここは、ある程度慎重にに銘柄選択をすべき時期にそろそろ入ったと考えられる。

相場を考える上でのポイントは、


1.外人買いが継続するのか、国内の投資家はどうかという需給面の問題
2.日本のマクロの好転はどのくらい進んでいるか、持続するのか
3.個別銘柄の株価水準はどの程度の位置にあるのか


であるとみる。

需給関係は?

外人投資家の日本株買い姿勢は続くだろう。ただし、今年3月以降にみられたパニック的な買い(なぜならその時は日本株を極端にアンダー・ウエイトにしていた、ショート・ポジションが多かった、日本の株価指数の上昇がもっとも高かったなど)のような商状は期待しにくく、国内の法人売りを吸収するような買いとみる。

また、米国はポスト・ルービンの金融政策の舵取りが鍵を握る(これからは米国がソフトランディングできるかが最大の焦点)が、当面は大きな波乱の可能性は少ない。

国内勢は、事業法人、金融法人ともに、株主総会を終えると、また1万7000円台を超えた水準では持ち合い解消のペースが増加する可能性が大きい。

GDPの統計数字は一過性

小渕政権の政策効果で日本経済は最悪期を脱し、浮上の兆しがかなり見えた。とはいえ、バブル崩壊後の後遺症から立ち直り本格的な構造改革を進める上での大変革期にある今、3つの2000年問題、すなわちa)ペイオフ、b)国際会計基準の導入、c)中央省庁再編問題の解決をも控えているので、簡単に日本が回復基調に入ったとは言い難い。

もちろん、株価は個別企業の業績、すなわちマクロよりミクロを重視する傾向があるのが当然なので、企業のリストラを評価した買いは続く。

しかし、上述のような問題に対し、現在の小渕政権下ではこの根本的な解決方法はいまだ手付かずの状態だ。(例えば、国家の財政赤字が今後も拡大させないためには、消費税を14%にしなければならない、経済戦略会議の試算に首相は眉をひそめただけだった)

個別株の株価水準はどうか

ドンキホーテ、良品計画をこれからも買いつづけることが可能であろうか。さらに株価が倍になるのであろうか。多くの投資家がその疑問に気づきはじめる時期が今迄引っ張った銘柄に近づいたような気がする。

景気敏感株として素材関係が注目されている。指標銘柄としてはやはり新日鉄で、97年の高値を抜けはたして400円台にのるのか、に注目したい。

今後、一番の好パフォーマンスを得られる可能性の大きい銘柄群として

第一に、事業の再構築、経営資源の得意分野への集中といった本当の意味のリストラ企業を探す、

第二に、豊富なキャッシュや蓄積された技術力を持って21世紀に向けて積極的な事業展開を図っていく、


このような銘柄が好パフォーマンスを得られると思われる。

前号へ


バックナンバーヘ

ホームへ


※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


お問合せ・ご意見はこちらへ otoiawase@8katsumi.sakura.ne.jp