今月の見通し

平成11年7月8日

市場の概況

日本の1〜3月期のGDPが市場のコンセンサスを大幅に上回る高い伸びを示した ことで、世界の株式市場は好影響を受けている。日経株価は年初来高値を更新、1万8000円をつけたし、アジア市場も好調だ。

日銀の金融緩和継続(ゼロ金利政策を維持)により、資金が株式市場に引き続き流入しており、店頭、東証2部や東証一部市場の値がさ株や小型株の値上がりが目立つ。

一方、債券市場は景気の底入れ、回復期待を背景に急落している。

全体的な動き

米国は資産価格の上昇で消費が加熱気味になっており、FRBは順次金融引き締めを行うと思われる。よって、今年春までに見られた資金の米国への一極集中傾向には微妙な変化が訪れ(ドル余剰が表面化するかが鍵か)、グローバルな資金はアジア、日本、そして欧州市場に緩やかにシフトしてくるだろう。

特に、欧州は最大の懸念材料であった、政治的な問題であるコソボ紛争が一応の解決に向かったことから、ユーロ圏はようやく統合されたことによる経済的なメリットの枠組みが作られるようになる。21世紀は「ユーロの時代」と言う人もいる。足元の景気も下げ止まり、第3四半期以降は上向きに転じると思われることや英国、スイスの景気回復が追い風となりそうだ。

そこで、やや早いかもしれないが、メリットを受けるユーロ関連株を仕込みたい。

注目すべきセクターは?

今後も好パフォーマンスを得られるような物色対象またはセクターは何だろうか。前3月期決算の発表が行われている頃は、前向きなリストラ(バランスシート上リストラ、時価ベースでのリストラ、グループのリストラ)や大胆な経営改革を公表した銘柄群が狙われていた。

しかし、本格的な景気回復をマーケットが期待している現状およびこれからの相場環境を想定すれば、


1. 豊富な手元流動性を確保している

2. 蓄積された世界的な技術力を持っている

3. バブル期のマイナス遺産の処理を完全に終了した

のいずれかに当てはまり、かつ

A.来期以降に向けて積極的な経営姿勢へ転換(明確な中長期計画の策定)していく

B.積極的な経営姿勢へ転換していく

以上の条件を備えた将来性のある企業を探す時期にある。

具体的には、カゴメ(東証一部、食品=2811)、リンガーハット(大証二部、8200)やファナック(東証一部、電気機器=6954)、光洋精工(東証一部、機械=6473)、加賀電子(東証一部、商業=8154)、富士ソフトABC(東証一部、サービス=9749)、ホクト産業(店頭公開、水産・農林=1379)などだ。

今月の株式市場の見通し

8月は、

1. 海外投資家がサマーバケーションに入る

2. 新規の買い材料が乏しくなる

3. 8月の過去のパフォーマンスは芳しくない

4. 9月末を控えて国内の法人から持ち合い解消が増加する

以上のことから、いったんは7月中に平均株価は高値をつける可能性が大きい。また、先月末の個別銘柄の買い方はファンダメンタルズを多少無視した感が強く、株価の上昇が一度止まれば売り物が膨らんでくると考えられる。

さらに買い越し外人投資家は今回の景気回復が本物と確信しているきらいがあり(先のGDPの様に統計数字で良いものが出れば政策面で後退する可能性もある)、裏切られた時の反動が懸念される。

ただ、日本株の中長期上昇(ダウ2万3000円を目指す)を否定するものではない。


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