今後の株式市場

平成11年8月28日

株式市場について

本年の日本の株式市場は、ファンダメンタルズ上のポジティブサプライズ(意外な好材料)が出て、その後の大幅株価上昇につながっている。

第一に、2月12日の日銀金融政策決定会合でゼロ金利政策がとられたこと。その結果、2月12日に1万3979円69銭だった日経平均株価はその後の高値、1万7300円をつけた。

第二に、1〜3月のGDPの年率成長は7.9%と予想外の高成長だったこと。これにより、6月10日1万7102円62銭の日経平均株価は その後の高値、1万8500円をつけた。

第三に興銀、第一勧銀および富士銀行の3行の統合を交換した外人の買い物が入った。筆者克美は 、8月19日に1万7879円74銭だった日経平均株価は、これによりその後の高値2万円をつける可能性があると見る。

上記の3行統合は、用意不足の感はあるが、日本を見直すきっかけに十分なりうる。

円高イコール株高へ

今回の円高は、日本の景気回復を睨んでの海外からの資金流入が主な背景だ。

景気面からは、6月から公共投資はマイナスになっているものの、第二次補正予算で真水5兆円程度の公共投資上積みでカバーする。消費マインドの回復、設備投資の方も下げ止まり傾向にある点は見逃せない。

GDPは1〜3月の反動減が懸念されているものの、4〜6月、7〜9月ともにゼロ成長程度が想定され、株式市場にデメリットはないだろう。

もちろん、リスク・シナリオはドル安だ。しかし、100円に近づくと協調介入のカードが残っている

日本企業は、1ドル=110円前後ならまだ容認できる。

9月以降は株式市場にフォローの風が吹くのでは

9月に入ってからは、次にみるように株式市場にはミクロの面からフォローの風が吹きそうだ。

まず、代表的な大手企業が相次いでリストラ策などを打ち出す。

NECは9月末までに大幅な組織改正をおこなう。日立・三菱電機は9〜10月中に中期経営計画を発表するのではないか。

また、トヨタはプラットフォームの共通化や多角化部門の整理・強化等のリストラ策を発表するのではないか。大手鉄鋼は設備廃棄に伴うリストラ策を発表するのではないか。

さらに10月には株式交換制度を認める改正商法が施行される。それをきっかけとしてバリュエーション的に割安な日本企業のM&Aが、または業界再編等が加速されそうだ。

為替が円高傾向なのでエレクトロニクスは選別による押し目買い、物色は景気敏感株へシフト、特に、大手鉄鋼株が今は注目される。例えば、新日鉄、川鉄、NKKだ。

前号へ


バックナンバーヘ

ホームへ


※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


お問合せ・ご意見はこちらへ otoiawase@8katsumi.sakura.ne.jp