9月の株式市場

平成11年9月7日

8月を振り返って

8月の株式市場は予想以上に底固い動きとなった。機械受注の7〜9月の見通しが大幅に改善したため日本の景気回復期待がよりマーケット内で高まった、興銀、第一勧銀、富士銀の3行統合発表で銀行株に大量の買いが集まった、モルガンスタンレー・キャピタル・インデックスの銘柄入れ替えによる新規採用銘柄の株価上昇が大きいことなどがその背景。

日経平均は月初の1万7825円70銭から月末(8月27日現在)には小安くなったものの、TOPIXや日経平均500種は月初より高い水準を維持している。

8月が予想以上に底固い動きとなった理由

今年の日本の株式市場は、ファンダメンタル上のポジティブサプライズ(意外な好材料)が出現、その後の株価上昇につながっていると言えそうだ。

そのサプライズの第一が2月12日の日銀金融政策決定会合で決まった実質ゼロ金利政策。これにより、日本政府は本格的な金融緩和に踏み切ったと認識され、日経平均は当時の1万3979円69銭から1万7300円の高値まで株価は上伸した。

第二は1〜3月のGDP。年率7.9%という高成長はコンセンサスを大きく上回るもので、小渕政権の経済政策(金融システム対策と財政出動策)を確認できた。日経平均は発表時点の1万7102円62銭から直近の高値1万8500円を付けた。

そして、第三のサプライズが8月19日の興銀、第一勧銀、富士銀の3銀行の統合発表であろう。この材料はリストラの内容面で用意不足の感は否めないが、日経平均は2万円の大台を目指すというシナリオがなり立つともの考える。

よって、米株に連動安した局面や持ち合い解消売りで日経平均が1万7000円前後になったところは押し目買いとなろう。

リスクはあるものの恐れるほどのものではないのでは

リスク要因は円高(ドル安)。今回の円高は、日本の景気回復を睨んで海外からの資金流入と米国からの緩やかな資金流失という2つの側面があるので注意が必要だ。

だが、為替は協調介入というカードが残されている上、バブル化している米株式市場も早期の利上げ実施でソフトランディングは可能であろう。

9月の見通し

9月は、4〜6月のGDP発表、補正予算の策定、自民党総裁選挙といったマクロ面よりミクロ面からのフォローが相場を支えると思われる。

というのは、米マイクロソフト、ソフトバンクと東京電力の提携は日本の通信コストを大幅に引き下げる、すなわち情報通信化社会の進展が今後本格化するきっかけとなりうるし、上記の3銀行の統合は金融業界の本格的な再編だけでなく、日本の象徴ともみられている系列を崩壊させ産業界全体の再編、リストラ、構造改革を促すであろうから。

もともとこの9月は日本の代表企業が中期経営計画、組織改正、リストラを相次いで発表する見通し。加えて、小渕首相がミレニアム(千年紀)プロジェクトとして指示している経済新生特別枠が新たな成長産業や企業を生み出し、経済自体を活性化させていくであろう。

有望銘柄発掘のためのアドバイス

物色は、円高傾向のなかでエレクトロニクス、自動車といった輸出関連や投信や個人が買い上げた小型成長株の一部を避け(もちろんその中でも株主価値を高められる企業は除く)るべきであり、景気敏感株へのシフトや金融株を無視しないことを薦める。

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