
今年下半期の株式市場の見通し 平成11年9月28日
今後の株式市場の流れは?
☆日銀が金融政策を変更しなかったことはネガティブ・サプライズで、為替市場は当面予断を許さないだろう。しかし、第二次補正予算により財政出動がおこなわれれば、協調介入の素地が整うため、日米の協調介入がおこなわれるのではないか。
☆平成11年下半期の日経平均株価の予想レンジは1万6000円から2万1000円とみる。ただし、本年下半期の平均株価の上伸がなくても、個別にかなり値上がりする銘柄があるとみる。
☆米国の金融市場・為替など外部環境に不透明感が残るものの、押し目買いを継続すべきだろう。今出遅れているのは日経平均株価と低位の主力株だ。これらの株もバリュー面からの修正高の動きがいずれみられるとみる。
☆ただ、今年上半期の中・小型株の上昇はバブル的な感があった。高値まで戻るとは限らない。
今後も日本株への資金の流入が続くとみる
☆あらゆる面から日本への資金流入が続くと思われる。よって、今下半期も日本株は強気で臨むべきとみる。理由は、☆100円割れ寸前の円高傾向は行き過ぎだ。また、日銀はいずれにしても金融緩和を進めざるを得ず、円反落の余地は大きい。為替が株式市場のは乱用員とはなりがたい。
☆日本の景気回復期対が高まり、資金流入が続くのではないか(10月4日の日銀短観に注目)。自動車販売の底打ちが本当であれば景気回復期待がより強まるだろう。
☆ただ、日本経済の回復力は依然弱い。設備投資や雇用・所得の裏付けのない消費回復には限界がある。よって、株式市場の観点は、個別企業のリストラの進捗度合いであるとみる。すなわち、リストラが今後の株価を下支えすることになるのではないか。である。
日本株を買う条件はそろっているのではないか
☆大和総研では1ドル=105円の前提でも今期・来期とも連続して増益となる見通しという。また野村総研の見通しでは、2001年度の連結最終利益が、過去最高である90年度を更新する可能性があるとしている。
☆6月の企業収益予想と比べ、9月の予想で増益率が高かったのは、紙・パルプ、電機、精密、鉄鋼のセクターであった。
☆米国の高株価を支えてきたのは、自社株買い、M&A、ミューチュアルファンドだった。
☆株式交換制度の創設が株主価値を高める経営姿勢を促すのではないか。たとえば、ソニーでさえ時価総額が10兆円に満たない。現預金だけで9兆円を有するマイクロソフトが株式交換制度をやれば、簡単にソニーを買収できることになる。今後企業望遠のためにも経営者は株価を上げる経営をおこなう必要が生じるとみる。
今後の需給関係はどうなるのか?
☆メリルリンチのギャラップ調査によれば、日本渡航集荷部を強気にみる機関投資家が再び増加しているという。メリルリンチでは、日本株の推奨ウエイトを特に増やしてきている。
☆ただ、持ち合い解消の動きはこれからも続くだろう。今年上半期の銀行部門の売越額は1兆3883億円だった。下期も同程度ではないか。
☆また、大手銀行は公的資金を導入したために解消売りのペースは早まり、2002年度までに9兆円前後の解消を進める見込みだ。事業法人も下半期は上半期を上回る解消売りを出すのではないか。
☆買い手は、外人、個人、投信だ。
☆外人は、当初の予定よりも大幅に買い越した。下半期も大きな変化はないのではないか。
☆個人は、信用の買い越しが増加傾向にある。物色意欲が伺える。
☆投信は94年から97年まで年間1兆円超の売り越しとなっていたが、98年には4372億円まで売り越しが減少した。99年は個人の買い意欲が旺盛で新規設定が相次ぎ、6000億円を上回る買い越しとなるだろう。金融指針を保有する個人は、株式市場の主役なりつつある。
☆個人の金融資産は99年度1374兆円。そのうち現預金の占める割合は54.3%にものぼり、株式保有比率は5%強にすぎない。
今後の懸念材料
・ 日本と米国の政策当局のズレが拡大すること。
・ 100円を割る円高から、ドル安へと向うこと。
・ 年明けに中国元の切り下げリスクがでてくること。
有望銘柄発掘の視点
☆今後の買いの主役が外人と投信となっているので、かれらの好む銘柄が買われるのではないか。11月中旬から発表される、9月の中間決算で好調な銘柄に注目が集まるのではないか。
☆ただし、中。小型株、すなわち成長株の一部は買われすぎなので、押し目買いは有効ではないとみる。
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