10月の株式市場

平成11年10月8日

概況

4〜6月のGDPが前期比0.2%増、年率換算で0.9%増と2四半期連続してプラスになったことにくわえ、次世代のゲーム機のプレイステーション2を3万9800円という低価格、高機能で発表したソニーが上場来高値を更新したこと、ソフトバンクなどのネット関連や中古型株が急騰したため、9月半ばまでは活況な株式市場が続いた。

しかし、円売り介入にもかかわらず、円高の流れが止まらなかった。日銀が量的金融緩和を見送ったこともそれに拍車をかけ、ニューヨーク株価の調整もあって平均株価は一時1万7000円台を割り込んだ。

足下は先行き不透明感があるが、世界景気の安定が期待される本年下半期の株式市場を展望してみよう。

為替の動きは?

外国為替市場は、米国のソフトランディングと日本・欧州の景気回復基調によってファンダメンタルズ格差が縮小、ドルの軟調な地合に変化はないとみる。ただ、米国の貿易赤字が拡大していること、G7で円高懸念の共有が盛り込まれたこと、またいきすぎた円高阻止とある程度の強いドルは国益という米国当局の姿勢から、2桁の円高が継続するとは思えない。

日・米・欧の債権市場

国内の債券市場は、第二次補正予算の規模や景気回復期待によって需給悪化懸念が強まり軟調となるだろう。しかし、潤沢な資金を保有する国内機関投資家が運用難から下値を拾うことも予想されるので、ある程度下値は限定的なのではないか。

米国の債券市場はレンジ内での推移が予想される。インフレ警戒感が残るものの、景気の減速観測が徐々に台頭しているためだ。

一方、欧州債券市場は、今期1〜3月期を底に景気回復基調が鮮明になっていることや、起債ラッシュがあることから、やや軟調な展開になるのではないか。

米国の株式市場

米国の株式市場はおおむね堅調に推移するだろう。しかし、オーバーバリューの修正が起こる可能性も否定できない。

10月中旬以降発表される7〜9月の企業業績は、エマージング市場の混乱で落ち込んだ昨年の反動増で、見かけ上の伸びが大きくなるだろう。

一方、貴金属や原油等商品市況の上昇や雇用コストの高止まりから金利上昇懸念がでてくるかもしれない。

また、欧州の株式市場は、好調な個人消費に加え、輸出企業の収益回復が追い風となっていること、また国内景気の回復基調が鮮明になっているものの、米国の金利上昇懸念等から上値は重いのではないか。

今後の日本の株式市場の傾向と対策

日本の株式市場は、外部環境の懸念材料があるものの、基本的には強気で臨むべき、とみる。

自社株買い、M&A、ミューチュアルファンドという三つの買い手が米国の高株価を支えた側面があるが、日本も同じ動きとなってきた。
また、外人に加えて、投信は1990年以来の買い越しとなりそうで、需給関係はおおかた良好である。

一方、100円代前半まできた円高のマイナス無視できず、今年下半期以降の企業収益に与える影響を吟味する必要が生じてきた。
しかし、現在の為替水準であれば、リストラ効果でカバーし、今・来期と連続して増益が見込めるため、選択する銘柄を微妙に変える程度にとどめるべきではないか。

さらに、前回も述べたとおり、小型成長株の一部はバブル的水準にあったことも加味すべきだろう。


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