
11月の株式市場 平成11年11月5日
日米の株式市場の概況
☆「エコノミストにはバブルの破裂を予測することはできない」といったグリ−ン・スパンFRB議長の発言やインフレ懸念の台頭から30年国債が急伸しし、ドルも売られたことから、10月のニューヨーク・ダウは1万ドルを巡る攻防となった。
☆日本の株式市場は個人をのぞいて外人投資家頼みの側面が多いだけにニューヨーク株式市場をにらんだ展開が続き、一時ニューヨークにつれ安した。そのなかでNTTDoCoMoが上場来高値を更新し、情報通信関連株に極端な買いが集まったほか、好決算を発表した銘柄も人気化している。
☆ブラック・マンデーをはじめとして古いジンクスが思い起こされ、10月は慎重派が増加したもののニューヨーク株式市場は小幅調整に終わった。好調なファンダメンタルズが下支えをしているものと思われる。
☆また、ニューヨーク・ダウの採用銘柄の入れ替えの発表がありシアーーズやグッドイヤーなど4つが外れ、マイクロソフトやインテル、小売りのホーム・デポ、地域通信のSBCコミュニケーションズが新規に採用された。ニュー・エコノミーがニューヨーク・ダウに反映されていきそうだ。
日本株の地合は本当に弱いのか?
☆日経平均株価が膠着状態にあるため、本来日本株の地合は弱いという意見がある。が、それは誤りだろう。次世代の情報通信のコアとなりうる携帯電話の普及スピードの速さ、また小型電話の小型化技術では日本勢が優勢であるし、今期・来期の増収増益企業は案外多い。
☆三井系のさくら銀行と住友銀行の合併合意は系列の崩壊が進んでいく象徴だろうし、日産自動車の大リストラの発表はポジティブ・サプライズだった。日産は外国人の手を借りてでも過去のしがらみを乗り越えようとしている。
☆これらの好材料を素直に株価に織り込んでいく上昇波動の銘柄群がある反面、政府の規制緩和が進んでいない分野での不人気企業が多数あるという構図−−持ち合い解消という需給要因も不人気に拍車をかける−−が、今日の日本株により近いと筆者はみている。
☆よって、今後規制緩和が進み、景気回復が本格化すると、不人気企業の価値が本質的価値に近づき、中期の強気相場が目に見えるようになるだろう。
今月の株式市場の動きは?
☆今月(11月)は積極的に買い上げる材料に乏しく、NTT株の売却の成否や米国株、為替の動きあるいは2000年問題を引き続きにらんだ展開となるだろう。
☆しかし、来春には日本を含むアジアと欧州の景気回復や米国の景気減速が確認され、再び日本株への資金流入が本格化すると思われる。よって、押し目は積極的に拾いたい。
☆また、目先の物色は投資家の関心が向いているグロース(成長力)中心となるので、当面そのトレンドに乗るのが効率的で、それらの押し目買いが有効となりそうだ。
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