12月の投資戦略

平成11年12月6日

米国の株式市場のと日本の市場の概況

インフレ懸念の後退から米国のNASDAQ市場連日大商いのなか、最高値を更新している。それにつれてニューヨーク・ダウは1万1000ドル台を回復して世界的な株高を支えている。

日本も11月、日経平均株価が1万9000円台を回復しNTTDoCoMo、NTTデータ、NTTやソフトバンク、ソニー、CSKなどに人気が集中して株価も急騰した。

他方、鉄鋼や海運に代表される歴史の古い会社の株は、ファンダメンタルズをやや無視した持ち合い解消の売りが株価を押し下げ、二極化相場が顕著となった。

※NASDAQ:全米証券業協会の後援のもとに開発された店頭株の自動気配システム。95年末の公開企業数はNY証券取引所の2倍、売買代金で1.2倍に達している。


人気銘柄はそろそろとりあえずの上値に近づいたのではないか

12月の株式市場は、

1)10月のM1は前年比13.67%と96年頃の水準まで伸びている点、
2)外人買いが継続していること、
3)2000年問題と情報通信関連株の物色中心に楽観的な見方がでていること、

以上のことから強気に考えている投資家が多いようだ。

※M1:おカネの供給量のこと。具体的には現金と預金の合計。流動性のもっとも高いおカネの指標として用いる。


しかしながら、筆者は、年末のボーナスシーズンによる資金の流入が期待できることや投信の買い余力があるものの、日経平均1万9000円を超えた時点はいったんは利益確定の売りの好機であると判断している。

円が101円台に突入したり、企業業績が悪化したりして日本の景気回復に水を差しかねないことを懸念してこう判断しているわけではない。そうではなくて、

a)来年(2000年)の始めにかけて米国のクリスマス商戦の加熱や雇用コストの上昇、さらに原油価格の急騰から米国のインフレ懸念が再燃するかもしれないこと、
b)日本株は相対的に出遅れているとはいうものの、投資尺度やチャートで判断しがたいグロース株(成長株)、ネット関連株、超値がさ株の投信、証券会社の自己売買などによる盲目的に近い買いがおこなわれていること、

これらの理由によって日経平均1万9000円を超えた時点はいったんは売りの好機と考えているのである。

現在の状況はといえば、年初来安値を更新した銘柄の多くは需給関係の悪化によるところが大きいし、100円割れ株価は倒産危機のシグナルを発しているとは、今では必ずしもいえない。

すなわち、経営変革のみられる大型株や材料株に人気がシフトしたとき、オーバー・バリューの銘柄群はもろいのではないか。

なぜなら、それらの株価オーバー・バリューの企業は、

・エクイティ・ファイナンスをおこなう企業が増加している、
・一時期ブームとなった自社株買いは減少傾向にあること、


これらの原因が、特別損失の減少→EPSの増大→株価上昇という要因を相殺する可能性が出てきたからだ。

※EPS:一株あたりの税引後利益

今月の銘柄選択のポイントは?

以上やや弱きの意見を述べたが、アジアの景気回復が鮮明化するなかで、世界同時景気拡大=企業業績の好調で世界の株高がしばらく続く可能性がある。また、日本株が中・長期的に上昇相場入りしていることは、筆者は否定しない。

よって、今後調整局面になったなら、再びリストラ関連株や、株式市場の局面によっては、一部景気敏感株の底値買いを試すのが得策ではないか。

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※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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