
平成12年8月5日
最近の株式市場のみて
☆7月28日にTOPIXは1452.93、日経平均500種が1435.28円と年初来安値を更新した。
☆また、ソフト・バンクが分割後の安値、ロームや村田製作所が年初来安値となり、値がさ株の下げが目立ったほか、そごうの法的整理が決まったのち、低位株全体が大幅な調整となった。
☆さらに、旧長銀である新生銀行の瑕疵担保特約が世論で問題視されることもくわわって、金融株全体も売られた。
☆投資主体別で見ると、投資信託の大幅な買い越しにたいし、外人売りという構図だ。大型公開のローソンは公募価格を下回って寄りついたことは、相場全体の地合の悪さを感じさせる。
なぜ相場の地合は弱いのか?
☆景気や企業業績が、当初予想よりも強いにもかかわらず、7月の株価が下落したのはなぜだろうか?外人売りや信用の投げ、さらには持ち合い解消売りという需給面での要因もあるが、ファンダメンタルズに多くの問題があったからではないか。
☆それは第一に、政治リスクだ。
☆自民党幹部によるそごうの法的整理への関与したこと、日債銀の譲渡問題が未解決なこと、さらには日銀に独立性はあるのかなど、取り上げるときりがない。すなわち、森政権の政策遂行能力にマーケットは相当に疑念を抱いている。
☆第二に、金融不安の再燃だ。
☆今年の3月末、全国金融機関の問題債権は81兆円で、前年同期に比べ1兆1,000億円増加している。ゼネコンをはじめ、金融リスクがそごうの件でクローズアップされ始めた。
☆第三に、世界の株式市場の微妙な変化だ。
☆日本のゼロ金利解除の観測や欧米での金利上昇から、日本発の過剰流動性にもとづくグロース・シナリオが崩れ始めた。
第四に、株価に今回の好業績をすでに相当程度織り込んでいた点だ。
従来から指摘しているように、ディバイス株は数年先の増益を、IT関連株は過剰の期待を買ってしまった。そして、そのプレミアムがはげてしまった。
今後の相場展開
☆当面は好材料が乏しいうえ、マーケットを活性化させるテーマが見あたらない。
☆しかし、大方の企業が想定している為替は1ドル=105円からかなり円安になっているため、これは回復する企業業績を後押しすることとなる。来期連結予想PERが30倍前後となれば、株式の割安感が出るだろう。
☆さらに、最近株価と連動性が高いキャッシュ・フローは、今期・来期とも大幅な改善を見せることから、個別銘柄を買う条件は整ってくるだろう。
☆4〜6月のGDPは年率3%強の見方が有力だ。その発表直後の9月14日にはSQと日銀政策決定会合がある。が、その前に裁定買い残の解消売りが懸念され、このあたりが相場の転換点になる可能性が大きい。
中・長期投資家にとっては買い場となるが、逆に言えばそこまでは不安定な相場続くと思われる。
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