平成12年9月4日

9月の投資戦略

8月の株式市場

8月の株式市場はおおむね堅調だった。日経平均株価は7月31日の安値1万5394円から戻し、一時1万7000円台を回復した。ソフトバンク等のIT関連株や業績上方修正が伝えられた東芝等の半導体関連株の上昇が目立った。

米国の株式市場でハイテク関連株が上値追いをしていることや外人の買い戻しに加え、通信、銀行株中心に信用買い残の整理が進み(買い残高が今年最低)、売り圧力が後退したためだ。

一方、消費の回復が遅れていることから見切り売りで、消費関連株の多くが年初来安値を更新している。

今月の株式市場

9月中間決算を前に上方修正の発表ラッシュとなっている。前3月期の減収決算とは異なって、今期は増収・増益決算だ。

IT関連の電機から関連素材メーカーに広がり、修正幅も拡大していることから、ストラテジストとの一部にはIT関連株の「現実買い」とともに相場全体が「業績相場」入りしたとする見方がある。

ただ、4〜6月のGDPが良くても2000年度の当初公共投資が99年度の補正予算と比較して2兆8000億円少ないので、官需から民需へのバトンタッチがうまくいくかどうかが疑問なほか、ゼロ金利解除影響などがある。そのため、年度後半の国内景気がやや弱めになることを前提として、業績予想を考えるべきだろう。

ところで、酒類販売規制の一部撤廃を延期するなど、規制緩和の進展が疑問視されるほか、9月中旬の政府税調審議の行方も気になる。

東証再開以来、9月相場は年間を通じてもっともパフォーマンスが悪い。とくに、バブル崩壊後の90年以降は2勝8敗と厳しいのは、持ち合い解消売りの増加という要因につきるだろう。

9月期末を控えた益出し・売り切りは、ほぼ20日まででピークを打つと思われる。しかし、各銀行の不良債権処理加速による原資作りや債券の下落(長期金利上昇)にともなう穴埋めのための株式売却懸念は残る。

さらに、需給面では日経225の入れ替え(定期見直しとともに、興銀など大手3項の持ち株会社への移行やKDDの合併による)による不安と10月の全国朝日放送の上場、NTTの第6時売り出し、そして裁定コスト上昇がSQにどのような影響を与えるかのども見極めたい。

他方、投信が、10月から来年1月までの満期金が30兆円超となる郵便貯金の償還金の受け皿になりうるかどうかに注目している。

銘柄選択の視点

米国株の落ち着きなど外部環境は良好に見える。しかし、9月は業績面で安心できる東証一部銘柄に絞った方がよいと考える。

なぜなら、絶好調の半導体市況が今後どうなるか不透明であるし、京セラが1月4日の高値を抜けるような動きにならないとIT関連の大相場は期待しがたい。

また、現在の投資マインドでは、バリュー的な銘柄群の急速な戻りは期待しにくいためだ。

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