平成12年10月4日

10月の投資戦略

9月の株式市場

9月の株式市場は軟調な展開となり、日経平均は1万5600円台まで下落した。ユーロの大幅下落やハイテク企業の下方修正による米国株式の調整といったファンダメンタルズの不安要因にくわえ、中間決算を控えた持ち合い解消売りが増加したことによる。

半導体関連株などのハイテク株やNTTをはじめとする通信株が売られた。一方、石油・非鉄などの資源株、市況関連株そして不動産株が買われた。

目立つ上昇修正

企業業績の上方修正が目立つ。2000年度の増益分の半分以上が電機・精密で占められ、半導体や電子部品の足元の絶好調を裏付けている。

2001年度には電機・精密の比率が低下し、住宅・不動産、小売り、運輸、医薬、食品などの景気回復の恩恵が幅広いセクターに及ぶ見通しだ。

ただし、米国の景気減速や半導体需給の悪化、原油価格、為替動向などを考えると、外需依存の高い企業の収益は頭打ちになる懸念が残る。

割高感の解消されている日本株

米国株は依然として割高感がある。これにたいして、日本株の割高感は、業績の上方修正や株価下落によって解消されている。

☆ある大手証券会社の研究所調査によれば、東証一部の(連結ベース)来期予想のPERは29倍にまで低下しており、よって米国、英国そしてドイツなどと比較しても高くない。

さらに、国際会計基準への調和を目指した「会計ビッグバン」がおこなわれているため、日本企業のバランスシートへの信頼性が徐々に回復している。PBR1倍割れの企業が見直される局面があるのではないか。

今月の注目のポイント

10月は米国市況が不安定ながら、日本株は底固めから、しだいに回復傾向をたどると想定する。よって、売られすぎた消費関連の一部、不動産株、非鉄株などを狙うべきと考える。

また、来年にかけて米国大統領選挙やMSCI変更などの不透明要因があるものの10月の株式需給はそれほど悪くない。ハイテク株には外人投資家の売りが引き続き出ようが、持ち合い解消売りは一時的に減少して年金などの長期資金の買いが吸収するだろう。

一方、郵便貯金の満期資金はいまだ株式や投資信託に本格的に流入する兆しはない。しかし、今下期は満期資金の絶対額が増加することから、投信の買越額は上期に比べ増加すると期待される。

ただし、今下期を展望すると相場の牽引役が見あたらない。98年10月安値からの上値を引っ張ったのは、ゼロ金利による過剰流動性や米国株の絶好調によって、時価総額の大きい大型株だった。

しかし、今下期の投資環境から見れば大型株の急騰は難しく、中・小型株の割安銘柄が見直される可能性が大きい。

今下期の注目のテーマとしては、次のようなものだろう。

1.デジタル家電、モバイルネットワーク
2.市況関連
3.光関連
4.情報・サービス
5.M&A(企業買収)


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