
平成12年11月10日
10月を振り返って
☆10月は、日経平均が1年7ヶ月ぶりに1万5,000円台を割り込みなど、相場全体は下げトレンドとなった。
☆米国では、インテルやIBMなどのハイテク関連企業の業績不安、ネット関連企業の経営不安にナスダックが急落、下げ止まらないユーロ、そして原油価格の高騰が米国株式市場のセンチメントの悪化に拍車をかけた。
☆日本でも、米国に連れ安するとともに、三洋電機の不祥事の発覚やソニーの業績低迷もくわわり、ハイテク関連株が全面安となった。さらには、千代田生命、協栄生命があいついで破綻し、換金売りに押されるなか、NTTの第6次売出し・公募増資が伝わり、国内投資家の買いの手が引っ込んだ。
構造改革の遅れるオールド・エコノミー
☆「世界経営者会議」のなかで、ジェネラル・モータースのリチャード・ワゴナー社長は「電子商取引は成熟産業にも新たな価値を創造する手段を提供する」と述べた。ネットやハイテク企業が20世紀末の米国の繁栄を支えたのはいうまでもないが、ネット企業の代表であるアマゾン・ドット・コムは、創業以来赤字だ。
☆また、ITの活用による労働生産性の向上がオールド・エコノミー企業の復活につながり、それが米国の好景気を長期化させている。
☆それとは対照的に、バブル崩壊の後遺症に悩む日本は米国と同じ道は歩めないだろう。つまり、オールド・エコノミー企業がITを活用しながらリストラや構造改革を強力に進めることが必要だ。
☆日産自動車の「リバイバル・プラン」はゴーン社長が当たり前のことをしたにすぎない。それができて初めて、IT関連企業の成長が日本経済の真の再生につながるというシナリオで、投資を考えるべきだろう。
11月の株式市場
☆米国株は10月まででバブルの調整がおおかた終了したと考えられる。ゴア、ブッシュのどちらが選ばれても当面はウォール街にとってはネガティブになりがたい。
☆ただ、成長率が急低下する米国経済の舵取りをFRBがどうおこなうかで株価が上下を繰り返しそうだ。
☆日本でも、補正予算成立後の日本株も「ポスト森」をにらむよりは、日銀や政策当局に判断をにらむ展開となるだろう。なぜなら、2001年1〜3月のGDPは2〜3%成長、4〜6月はマイナス成長の可能性がでてくるを思われるからだ。
11月の注目のポイント
☆10月は、相場全体の低値確認と来期以降の半導体の需給悪化懸念や、すでに述べた景気悪化を株価が折り込みにいったため、好決算の発表に反応が鈍かった。
☆さらには、国内投資家の多くがハイテクやITの高成長を疑わずポートフォリオが極端に偏っていたことも大きい。
☆蛇足だが、センチメントが悪化したときには、アナリストの予想は概して弱気となる。
☆しかし、11月はそれらをクリアーし、決算発表を受けて(ピークは17〜24日)、内需株の好業績、低バリュエーション銘柄の水準訂正がおこなわれそうだ。
☆ただし、決算対策売りが早めに出ることが予想されるから、相場の上昇トレンドは長く持続することはなく、したがって選別投資がいっそう重要となる。
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