平成12年12月10日

12月の投資戦略

これまでの政局や株式市場を振り返って

11月は内外の政局が混迷し株式市場も不安定な動きとなった。

米大統領選挙で新大統領が選出され、米国株式市場が反発するという期待があった。しかし、訴訟にまで発展しているうえに、アナリストが相次いでハイテク株を格下げしたことから、米NASDAQが急落した。

日本のハイテク株や通信株、値がさ株はNASDAQに連れ安して、日経平均は1万4000円台前半まで下落した。

9月の中間決算は当初予想を上回ったものの、内閣不信任案の提出などの国内政局も混乱したうえ金融不安もちらついて、全般は様子見商状だった。

ただし、内需の中・低位株は比較的底堅く、98年のような悲観論は台頭していない。

今後の企業収益の動向

2000年9月中間期実績(単体ベース)はIT関連需要の拡大や国内設備投資の拡大、米国・アジア向け輸出の好調により3年ぶりの増収・増益となった。(※連結ベースでは、前年比較ができない)ただし、今下期は原油高騰の影響や半導体市況の悪化、消費低迷が響いて中間期より増収率は鈍化し、また来期は外部環境が不透明なことから減速の可能性もあるだろう。

一方、連結中心の決算短信や時価会計の導入、退職給付会計の処理などがあり、今回の決算数字だけでは、収益の状況我より読みとりにくく、注意が必要となる。

当面の注目点

当面の注目点は米国の金融政策といえよう。

労働受給の逼迫はあるものの、一連の金融引き締め効果で米国景気は減速し、景気拡大ペースは潜在成長力以下になった可能性がある。

そのため、12月19日のFOMCでは、金融スタンスの変更(引き締めから中立、あるいは緩和まで)がおこなわれることを期待したい。

もし、変更がなかったときの株式市場や金融市場に与える悪影響はかなりのものと思われ、今回は金融緩和に向かう第一歩のタイミングと思われる。

12月は第2次森内閣にたいする不振や構造改革の遅れ、景気に対する不安やMSCIの入れ替え問題など、積極的に買い上げる要因には乏しい。

しかし、米国株式市場が反発すれば、一定のリバウンドが期待される。

物色のポイント

物色は日本国内の機関投資家をはじめとして、外需株から内需株へのポジション調整が続くと見られ、11月と同様、低バリュエーションの内需株が人気化すると思われる。

ただし、一定の水準調整が一段落すれば(日経平均のPER30倍は割高ではないが割安とはいいがたい)、現状の収益水準や構造改革の進捗状況から見て、循環物色は長く続かないだろう。

というのは、みずほグループ以外の大手銀行は株価がある程度上がれば持ち合い解消を加速すると思われるほか、他の金融機関や事業法人ともに売却するチャンスとなるからである。

むしろ、数ヶ月先をにらんで、売り叩かれたハイテク株や輸出株の組み入れタイミングを模索しながら、売買単価の低下時期には、流動性の問題から見向きもされない中小型成長株を拾うチャンスでもある。

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