
4月の投資戦略 平成12年4月7日
昨年度の株式市場を振り返って
☆99年度の日経平均株価は2万円台を維持した。NTT Docomoや日本オラクル、そしてソフトバンク等の情報通信関連株が時価総額を大幅に増やした。他方、東証一部銘柄の60%強が値下がりしているから、結果的には一極集中相場となった。
☆企業からの持ち合い解消売りが断続的に出たのに対し、外人は7兆5000億円強、そして個人の資金流入による投信は昨年(1999年)の8月から買い越しとなった。
平成12年度も相対的強気を継続
☆今年度(平成12年度)日本株全般の相対的な強気を継続する。
☆その理由は以下の3点。1.株式市場にに大量に資金が入ってくること。
☆すなわち、郵便貯金が大量の償還を迎える。今年度満期額は58兆円。これらは高金利時に預けていた資金であることと、郵便貯金残高に占める2000万円以上の「富裕層」が占める割合が55%であるから、この超低金利に満足できず、多少のリスクをとっても利回りの高い外国債券、株式投信そして株式へシフトすることが充分考えられる。
☆少なく見積もっても10%程度はリスク商品に回るのではないか。
☆また、ネットバブル的な米国株に比べて、日本株は外人投資家にとっては買い越ししやすい環境が続くだろう。
☆ところで、持ち合い比率の高い銀行株や建設株といった銘柄は、解消売り圧力の少ない時期には一時的ににぎわっても、上昇トレンドを維持するのは難しい。また、2001年3月末時点で時価が簿価を大きく下回ったばあい、「評価減」を計上しなければならないから、株価が下落している銘柄はより売り圧力にさらされる。
2.日本のファンダメンタルが改善してきている。
☆IT投資が牽引役になり設備投資が3年ぶりにプラスになるなど、公的需要から民間需要へのシフトが徐々に出てきていて、日本の景気は回復から拡大に期待がもてる。
☆さらに、今年度の企業業績は成長銘柄だけではなく、従来型の、いわゆるオールド銘柄にも回復がみられる。株式の益回りは長期金利よりも高くなり、株価の割安感がみられるようになりそうだ。
3.米国株の調整はそれほど日本株に影響を与えないと思われる。
☆米国株は徐々に波乱の様相を強めているが、それはバブル部分のは剥げ落ちによるもので、むしろ健全な調整と筆者克美は考える。
☆また、米国が過去最高の経常赤字となっても、米国から資金が本格的に流出しているわけではない。
今後の銘柄選択の方向性
☆平成12年度前半は相対的に優位なパフォーマンスをあげられるのは景気敏感株、年度半ばから後半にかけては業績相場的な色彩が強くなるのではないか。
☆その中で、本年4月末の日本オラクルの大型上場は懸念材料になるかもしれない。というのは、ソフトバンクの信用買い残高の多さや光通信の営業赤字転落、そして米国NASDAQの調整がくわわって、日本のネット関連株や値がさ株に需給面でマイナスの影響を与えそうだからだ。
☆さらには、民事再生法による倒産の増加が一時的に投資マインドを冷やす可能性があるだろう。
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