
5月の投資戦略 平成12年5月8日
4月の日米の株式市場を振り返って
☆4月の株式市場は波乱含みの展開となった。米国株式市場は、インフレ懸念とインターネット関連株の大幅調整が加わり、5月14日にはニューヨーク・ダウ、NASDAQともに過去最大の下げを記録した。
☆その後の経済指標、なかんずく雇用コスト指数はマーケットの予想を大きく上回り、金利敏感株や金融株が売られた。
☆一方、日本株は、日経225採用銘柄の入替が大きな混乱を生んだ。入替銘柄が30と多かったにもかかわらず、入替期間はわずか1週間というナンセンスなことをおこなったために、運用担当者の混乱を招いた。
☆また、光通信やソフト・バンクの急落が情報通信関連株や値がさ株全般に波及している。
米国株の調整により今後の日本株には注意が必要
☆足元では外人投資家の売りが小幅ながら目立つ。米国株の下落によるところが大きいと今のところ考えられるが、自由党の連立離脱、衆議院解散選挙後の政治・経済リスクを気にする円資産離れもあるだろう。
☆マーケット・コンセンサスでは買い越しと期待していただけに、当面注意を要する。
☆欧州連銀は、利上げをしたもののユーロ安が止まらない。欧州の景気は拡大基調にあることからみれば、1ユーロ1ドル割れは行き過ぎだ。だが、日本のゼロ金利の継続から始まる欧州から米国への資金流入はファンダメンタル上、これ以上続くのは難しい。ユーロの急反発がドル安・米国安のリスクとの裏返しと思われる。
また、ハイテク企業の収益は好調ながら、16日のFOMCをふくめ、インフレ指標に敏感になるだろう。
今後買われるのはニュー・エコノミー株か、あるいはオールド・エコノミー銘柄か
今回の決算発表の焦点は次の2つだ。
1.2000年度の企業収益の見通し
2.時価会計、連結会計、退職給付会計の導入により、バランス・シート上での負の資産処理がどの程度進んでいるか。
☆ニュー・エコノミーといわれる高バリュエーション銘柄の株価調節が進んでいるなか、オールド・エコノミー銘柄の買いのきっかけとなるかどうか、今回の決算内容を見極めたい。
☆パソコン、携帯電話、IT投資が牽引役となっている日本の景気回復や世界的な景気拡大、アジア景気の急回復による輸出主導の業績回復が株価に徐々に織り込まれてきている。
☆さらに、先に述べた投資環境にくわえて、ネット関連の株価急落により損失をこうむった個人投資家がいる等、高バリュエーション銘柄を再び買い上げるのは難しくなっている。
☆そのため、5月はグローバル的に割高感の乏しい国際優良株の押目狙い(日経225に新規採用された銘柄は短期的には割高感があるものが多い)、経営改革が進んでいながら低PER、低PBRに放置されているバリュー的銘柄が有望ではないだろうか。
※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
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