
6月の投資戦略 平成12年6月8日
5月の株式市場を振り返って
☆5月の株式市場は波乱だった。これは、日経225採用銘柄の入れ替えによる株価急落と、NASDAQの大幅調整が重なり、相場以上に不安心理が台頭したためと思われる。
☆とくに、ソフトバンクや光通信などのネット関連銘柄や外人持ち株比率の高い値がさ株が足を引っ張った。
☆しかし、中低位株の多くは底堅く、好決算を発表した銘柄は足の速い資金を中心に買い上げられた。s
☆なお、第百生命の経営破綻に投資家が冷静だったのは、一つには債務超過額が453億円(5月末)程度だったことと、もう一つは保有株も比較的少なかったためだ。
☆ただし、一部の報道にみられるように、株式運用を積極的におこなってきた金融機関の経営危機には注意しておくべきだろう。
実体経済と株式市場
☆GDPについては、昨年10〜12月の反動や閏年効果で3期ぶりプラスが予想されているうえ、4〜6月の見通しも、機械受注などから考えるとプラスになる可能性がある。
☆一方、米国は、5月の自動車販売が昨年比1.9%減、5月の失業率が4.1%上昇、4月の新築住宅販売が前年比5.8%減と過去の利上げ効果が出てきたことで、利上げ懸念が後退した。その結果、NASDAQ、ニューヨーク・ダウともに買い安心感が広まっていることから、日本株も月中旬まではリバウンド相場が継続するものと思われる。
総選挙について
☆6月25日には総選挙だ。神の国発言等で森政権の支持率は急低下したものの、民主党や共産党といった野党の基盤は弱い。今のところ自民、公明、保守の3党が過半数を獲得するとも見方が多い。
☆ただし、254の安定多数に届かないばあいや新政権が構造改革に慎重な姿勢を見せること、国内投資家の多くが「選挙結果による波乱はない」と考えており、ネガティブ・サプライズの(可能性はもちろん低い)を全く否定するのは危険だろう。
3月期決算発表を見終えて
☆前3月期決算期の発表がピークを終えた。リストラ効果が想定以上に収益回復に貢献したほか、製造業では、商品市況がボトムアウトし、国内外での携帯電話やパソコンの普及による需要拡大が収益に寄与した。
☆ところで、前期から連結重視の決算となった。かなりの企業が前3月期の決算短信で連結決算を前の方に書くようになった。
☆また、好業績、経営改革に前向きと思われる企業は、前期でおおかた、不採算の子会社や関係会社を整理したり、退職給付債務の処理を前倒しでおこなっている。そのため、今期は負の遺産をなくした効果による最終利益段階の増益が焦点となるだろう。
最後に一言
☆NTT Docomoの大型ファイナンスや新規公開の増加もあり、投資マインドの善し悪しが株価を左右するだろう。よって、外人投資家の投資スタンスがこれからも気になる。
☆だが、相対的にも絶対的にも割安と思われるNTTをはじめ、中・長期のバリュー投資家には買いたい銘柄が多いはずである。
※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
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