平成13年2月5日

2月の投資戦略と書くべきところを、あやまって1月の投資戦略と書いてしまいました。お詫びのうえ訂正いたします。
また、執筆日は1月5日となっていましたが、2月5日でした。重ねてお詫びいたします。

2月の投資戦略

1月の株式市場

1月の株式市場は、個別物色欲の強い展開となった。

東証一部の月間売買高は、昭和電工(4004)で3億株弱、その他個人投資家中心にゲノム・バイオ関連株や中小型株・店頭公開株が物色された。それらの値上がりが目立ち、また売り込まれていたセガ(7964)やソフトバンク(9984)などもリバウンドした。

また、主力株や日経平均株価は、円安効果や2度にわたる米国の利下げ、政府の証券市場の活性化策による期待感や外人の買い越しもあり、年初来安値水準から若干値を戻したものの、持ち合い解消売りがあって、上値の重い展開となっている。

日本の現状は変わらず

総務省が先日、発表した2000年の全国消費者物価指数は2年連続マイナスとなった。品目別では、ハンバーガー、家電製品、カラオケなどの下落が目立つ。

逆に、上昇したのは、入院費や下水道料金など公共料金的なものばかりだ。

この統計だけ見ても、景気の状況の厳しさと日本の現状は何も変わっていないことがわかる。

ところで、日本経済研究センターは、90年に3位だった日本の潜在競争力が98・99年時点で16位に転落したと報告している。とくに教育分野では深刻で、31カ国中25位、IT分野でも14位にとどまっている。

「iモードや電機・自動車の技術力から見れば、日本の競争力は強い」という議論は楽観的すぎる。

当面の注意点

バブル崩壊後の日本の株式市場は、危機的な状態を迎えると政府が何らかの対策を出し(92年8月、94年2月、95年9月、98年11月、99年11月)、その後反発するという動きを繰り返してきた。今回は、TOPIXなどの株価指数からは切迫感は乏しく見える。

しかし、決算期を控えた持ち合い解消売りの増加や会計基準の変更、景気の不透明感や個別企業の経営不安から、金庫株の解禁などの証券市場活性化策、および日銀による資金供給の拡充といった対策が打ち出され、それが株価の下支え役を果たすだろう。

外人が日本株を買い越している理由もそこにありそうだ。とくに、国内にとどまる余剰資金は昨年前半までのIT相場とまではいくなくても、1月に見られたような中低位株、ゲノム・バイオ関連株といった銘柄のディーリング相場につながる可能性がある。

以上のことから、銀行に資金不足問題は気になるが、「2・3月危機」は過ぎ去りつつあろう。相場の調整リスクはむしろ来年度に延びると筆者は考えている。

2月の相場展開

2月は、トヨタ(7203)や松下(6991)という優良株を含めた主力銘柄が持ち合い解消売りの増加で、上値が重くなる一方、1月に続いて個別物色の強い相場展開を想定する。

ちなみに、利下げや減税の効果による期待から米国の株式市場は、現在回復基調にある。しかし、在庫調整の進展やコンピューター投資の減速、そして貯蓄率の上昇といった要因から、年後半の本格的な景気回復を予想するのはかなり難しく、注意が必要だ。

ちなみに、ハイテク関連(日本企業)の業績悪化はこれからで、春以降に2番底をつける可能性が残されている。一部の銘柄に絞るべきだろう。

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※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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