平成13年3月5日

3月の投資戦略

2月の株式市場

2月は日経平均がほぼ2年4ヶ月ぶりに1万3,000円割れとなった。理由は、米国ではハイテク企業の下方修正やアナリストの格下げが相次いだことと、日本でも松下通信(6781)NEC(6701)などの下方修正が出て、主力ハイテク株や銀行株などに幅広い売りが出たためだ。

また、銀行の不良債権問題や政局不安、構造改革の先送りが指摘され、日銀の公定歩合の引き下げや政府の株価対策の検討も相場反発の材料にはならなかった。

これにたいし、鉄鋼株をはじめとした中・低位株、ゲノム・バイオテクノロジー関連株に対する物色は旺盛であり、日経平均が下落したにもかかわらず、値を上げるものが目立った。

日経平均1万3000円割れの背景

ところで、2月中の株価下落は、ある特殊要因による部分がかなりあったと、筆者克美は考えている。

そのある特殊要因の一つが、昨年4月におこなわれた日経平均採用銘柄の入れ替えだ。すなわち、短期間にかつ大量に銘柄を入れ替えたことによる混乱が微妙に尾を引いたうえに、米NASDAQとの関連性の高いハイテク株中心の指標となったことから、株式市場の全体を表す指標ではなくなってしまった。

にもかかわらず、連続性があり、しかもわかりやすいため、多くの投資家が相場の指標ととらえているため(証券会社の責任もある)、日経平均の下落が投資マインドの悪化を招いたようだ。

もう一つの要因は、株価指数リンク債だ。

多くの投資家がその残高や償還日に注意を払い、また下落の主要因ともある時期はいわれた。しかし、2月中の株価下落はその特殊要因があったとしても、TOPIXが1200ポイントを大きく割り込む水準となれば、活況だった中・低位株や底値を切り上げてきた店頭株などの中・小型株にも多大な悪影響を与えかねない。

当面の注目点

米国景気は後退局面入りし、国内景気は昨年8月をピークに2番底を探る方向にある。不良債権問題とともに、今の政策では日本、ひいては世界経済に深刻な影響を与える可能性がある。

政府・与党は、予算が衆議院を通過した時点での政権交代を、という考えが主流のようだが、早急に強いリーダーシップを持った政権を誕生させ、経済対策および株価対策を打ち出すことが望まれる。

ところで、日銀は2度の公定歩合引き下げなどで政策の転換を図ったが、もう一段の対策(現状では量的緩和)を出すことが予想されることから、マーケットはそれを好感しそうだ。

とはいえ、投資家は日・米政府や日銀の政策をにらみながら一喜一憂するものの、日本株の現状を株価水準から見れば、これ以上弱気になる理由には乏しい。

3月の物色の方向性

物色の方向性は変わらないと見ている。

ハイテク・半導体関連の受注はこの2月まで好調を維持している企業は少なくなり、新年度以降の不透明感はむしろ増しているように感じる。そのため、株価はかなり下落したものの、4〜6月の受注数字が確認されるまでは、投資しがたい。

逆に、経営改革による業績回復やバリュエーションの安さがいまだある中・低位株の優位性が続くと思われる。

また、21世紀の夢を買うゲノム・バイオ、超伝導、ナノテクノロジーなどのテーマ買いも有効だろう。

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