
平成13年4月6日
3月の株式市場
☆3月の株式市場は波乱含みの相場となった。ニューヨーク株式市場の下値模索の展開から、月初はハイテクや銀行株中心に売り物が増加し日経平均は1万2,000円を割り込み、昨年来安値を更新した。
☆しかし、日銀が金融緩和に踏み切ったことにくわえ、不良債権の進展期待や政府の緊急経済対策への期待から落ち着きを取り戻したことと、外人や個人の買い越しもあって急速に値を戻した。
☆ところが、3月末には積極的な買い手が乏しく、2000年度はTOPIXで25%、日経平均で36%の下落で終了した。
今年度の株式市場景
☆今年度の投資環境も決して明るくはない。
☆まず、需給面。
☆ポジティブ要因としては、公的資金(厚生年金、国民年金、郵便貯金、簡易保険)が自主運用を開始することで株式市場への資金流入が期待できる。そして、預金金利が実質「ゼロ」近辺に低下したことや、ネット取引の増加で中・低位株や材料株物色が続いていることから、個人投資家の買いが予想される。
☆ところで、昨年以上に大型新規上場や政府保有株の放出には注意が必要だ。延期された野村総研、ジュピターテレコムを始め日本マクドナルド、有線ブロード、松井証券などが株式公開を計画しているほか、これらにJRやNTTがくわわると、需給面の悪化につながることが懸念される。
☆また、外人投資家は、長期資金であれば相対的な日本株の割安感から組入れを増やすこともあり得るが、政府の経済対策の内容や不要債券の処理状況、そして6月のMSCIの見通しや円安の一段の進行(1$=130円以上)など、場合によっては売り圧力を強める可能性がある。注意が必要となるだろう。
☆日銀は「消費者物価の前年比上昇率が安定的にゼロ以上になるまで継続する」という基準を示し、金融政策ではできうる限りのデフレ対応をしたと思われる。あとは、4月はじめに発表される政府の緊急経済対策が相場の方向性を決める重要な鍵となるだろう。
経済対策の注目点
☆まず、株式買い上げ機構がどうなるのか。
☆米国では1933年のグラススティーガル法で、銀行の保有株は禁止されているが、日本も時価会計に移行するうえで、銀行が大量の株式を保有することは極めてリスクが大きい。
☆株式買い上げ機構がこの保有株を買い取るかたちをとり、銀行の持ち株に一定の制限を政府主導で付けることが大事だ。
☆同時に、不良債権処理の道筋が求められる。現状は地価下落に歯止めがかかりにくく、対応は難しいものの、処理の枠組み作りが早急に求められる。
☆証券市場活性化については、税制の抜本的な対応まで踏み込めるのかが中目臆される。
今後の銘柄選択の方向性
☆以上、株式市場の方向性はつかみがたい。
☆ただ、景気や企業業績の悪化は、おおかた株価に織り込まれた感がある。そこでは、経営改革や中期経営計画推進銘柄をコアにして、銘柄選択の方向性としたい。
☆また、筆者は、ブロードバンド、ナノ・ゲノム・テクノロジー関連株といって材料性のある銘柄には、注目している。
☆最後に、ハイテク株に関してはPER面で他の株と同様な水準に低下したとき、初めて押し目買いができる、戸考えている。
前号へ
※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
お問合せ・ご意見はこちらへ otoiawase@8katsumi.sakura.ne.jp