平成13年5月8日

5月の投資戦略

4月の市場

4月は、ハイテク株や金融株が乱高下したものの、総じて堅調な展開となった。

また、米国のFRBが4月18日に緊急利下げに踏み切り、米国株式市場が落ち着きを取り戻したことやNKK・川鉄の経営統合が伝わり、中・低位株の底上げが続いた。

さらには、不良債権処理の断行や構造改革の進展期待が、小泉政権の誕生とともに高まり、4月後半の日経平均は1万4,000円台を目指す展開となった。

小泉内閣の誕生

小泉新内閣が誕生した。

各マスコミによれば史上最高の支持率で、森内閣時の不支持率を逆にした形になった。脱派閥、田中真紀子外相の採用という組閣もあって、石原都知事や田中長野県知事の国民的人気イメージと似ている感じがする。

今までは、内閣支持率と日経平均は連動したような動きとなっており、株式市場にとっても小泉任期は当面、ポジティブに働きそうだ。

しかし、セイフティー・ネットをたとえ設けても、「痛みを伴ってもかまわない」で構造改革を推進していけば、デフレのもとでは倒産と失業が増加することは避けられないだろう。また、それによって不良債権が現実化し、一部の銀行が資本不足に陥るという事態もクローズアップされかねない。

だが、その痛みを避けようと構造改革を遅らせれば、小泉内閣の支持率が急落し、内外からの失望を招くことになる。

6月末の東京都議会選挙、7月の参議院選挙を控えて、わずか2ヶ月間で、ある程度の決断を下さなくてはならない。非常に難しい舵取りを迫られる。

今後の注目点

今後の株式市場は、企業業績と需給関係が方向性を決めそうだ。

TDKや松下通信などのハイテク株の業績不振が伝えられると、株価は急落し、投資家の業績に対する不安感が証明された。いま3月期の決算発表が明らかになりつつあるが、上期減速・下期浮上という会社側の想定が本当なのかどうか、を確認したい。

年初から、金融緩和による資金流入に支えられ、日経平均の動きとはあまり関係なく、相場全体は中・低位株、材料株、オールドエコノミー株などが下値を切り上げてきた。

この5月も、その相場トレンドは基本的に続き、戻りの限界を試すだろう。

今後の銘柄選択の方向性

さて、年初来高値銘柄が急増し、信用の評価損率は99年4月の▼2.66%、2000年2月の1.11%に近づくまで改善してきた。また、100円以下の銘柄も減少し、循環物色、出遅れ物色もおおかたピークアウトした感がある。

筆者は、現在の株価水準では、それらの低位株の割安感は乏しくなったと考えている。

よって、今後の物色方向性は、ミクロ、すなわち企業の経営改革、中期経営計画に基づいて経営姿勢の変革を評価する動きが継続するだろう。

ただし、株価もかなり織り込んだ感があり、マクロ、すなわちセイフの構造改革、規制緩和で恩恵を受ける銘柄群や勝ち組の銘柄がむしろ人気化する可能性がある。

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※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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