平成13年6月8日

6月の投資戦略

5月の市場

5月は、小泉内閣にたいする期待から、所信表明演説の5月7日には日経平均は高値をつけた。しかし、足元の需給悪化やファンダメンタルズの悪化が響き、結局日経平均は1万3,000円台前半の水準まで値を下げた。

とくに、外人買いや構造改革の進展期待以上に買い材料が乏しかったこと、3月決算の数字は市場関係者が想定したほぼ悪くなかったが、逆に、今期の下方修正懸念が広がった。

さらには、ユーロ安につられた円高も見送り材料となっている。

半導体、ハイテク・セクターは弱気スタンス

2001年の世界の半導体市場は、前年比17.2%減と、1985年以来16年ぶりの大幅マイナスになる、との見通しを大手証券の調査機関は発表した。

パソコンや携帯電話といった需給面での低迷もさることながら、やはり供給過剰という構造面での問題もあるようだ。

そのため、半導体、ハイテク・セクターの株価は米NASDAQとともにリバウンドを見せていたが、業績(直近で発表された今期の予想)の下方修正という悪材料が出るまで、当面ニューヨーク市場をにらみながらの下値模索となるだろう。

筆者は、少数の銘柄をのぞいて半導体、ハイテク・セクターには弱気にスタンスをとる。

今後の注目点

今大手16行の不良債権額は、新規に3兆4,000億円が発生し、また地方銀行と第二地方銀行の不良債権残高は、前期に比べ16%増という試算もある。

今年度から時価会計制度が導入や来年度からのペイオフ凍結解除を控え、極めて不安定な金融問題を抱えているといえそうだ。

金融庁は、銀行にたいして経営監視を強める方針のようだが、小泉政権での構造改革イコール不良債権の最終処理がおこなわれれば、デフレ圧力の高まりが加速しかねない。すなわち、10年以上解決が難しかった諸問題と制度改革・構造改革を21世紀に入ったとたん、同時にしかも早急に進めようとしている。

これは、短期的には極めて危険な政策であり、株価はそのあたりをにらんで不安定な動きが続くだろう。小泉総裁による参議院選挙の自民党勝利となれば、短期的にはより株価を下押す材料となりそうである。

今後の銘柄選択の方向性

3月期に決算発表はほぼ終了し、好決算を発表した個別銘柄が買われている。しかし、今下期増収・増益という、確度の乏しい楽観的な数字が散見される。

下方修正リスクは残されている。

一方で、PBR面での割安感のある銘柄も多くなってきた。以上のことから、6月は全般的に、ややディフェンシブの強い銘柄選択をすべきと、筆者は考える。

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※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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