
平成13年7月7日
6月の市場を振り返って
☆6月は総じて軟調な相場となった。
☆ハイテク株全般に業績不安がつきまとい、さらには小泉政権の進める構造改革はさらなるデフレ圧力を生む懸念が広がった。買い越し基調だった外人等の投資家は、中間決算を控えて様子見を強め、持ち合い解消売りも上値を抑えた。
☆一方、ネットを通した個人投資家の買い意欲は旺盛で、中・低位株やエネルギー関連株中心に、年初来高値を更新する銘柄が目立った。
指数が軟調でも年初来高値銘柄が続出
☆日経平均やTOPIXの指数が軟調になっているにもかかわらず、年初来高値を更新する銘柄は相変わらず多い。相場全体の基調は、いったいどうなのだろうか。
☆今年1月末からゴールデンウィークにかけては、低位株全般の底上げが顕著だった。
☆しかし、ゴールデンウィーク明けから現在までの好パフォーマンス・グループは、好業績・業績回復、低PER、高配当利回り銘柄が多い。
企業のIR活動に注目
☆ところで、IRを始めた、またはIRに注力している銘柄も見直されているようだ。
☆とくに、株価が安いオールド・エコノミー銘柄は、古くから上場しているにも関わらず、投資家の認知度は極めて低かった(会社名は知っているが、会社概要さえ知らない)。そこに企業の経営者は気づき、また投資家は投資対象として認知し始めたと思われる。
☆この動きは、長くて7月29日の参議院選挙前後まで続くと思われるが、構造改革が進展する(あるいは旧勢力の反発で改革が後退しても)その後はマーケットも大きく変化すると考え、慎重に取り組みたい。
ポートフォリオの電機・通信セクター比率の修正は遅れている
☆ハイテク株、通信株の株価はいぜん、下値模索の展開となっている。
☆これは、業績の下方修正懸念と、国内の機関投資家を中心に電機・通信セクターに偏ったポートフォリオの修正に起因していると、筆者は見ている。
☆半導体関連などのハイテク企業の下方修正懸念は、8合目まで株価に織り込まれてきた感がある(メディア、調査レポートの数が急増している)。
☆しかし、そのポートフォリオの修正はいまだ進んでいない。電機セクターの時価総額比率はいぜん高い。
☆よって、もし中・長期で株価の急反発に敢えて備えるなら、電機ではなく、組み入れ比率が極端に落ちた銀行セクターが無難である。
今後の銘柄選択の方向性
☆7月は、米国株式市場の行方や第1四半期の決算動向、参議院選挙、ジェノバ・サミット、26日のマクドナルドの上場と、予想しにくい材料が目白押しだ。
☆また、時価会計の本格的な導入を前に、持ち合い解消売りが増加するだろう。そのため、ボーナス・シーズンに個人の資金流入がどの程度あるかが、相場の鍵となりそうだ。
☆ただし、骨太の方針の基本理念はすばらしいものの、政府部門の縮小を伴わない改革ならナンセンスだ。
☆また、証券関連の制度改革は、配当の二重課税の撤廃、売買単位の引き下げ、銀行の保有株の受け皿、不良債権処理によるコスト負担問題が、具体的に勝つ早急にまとめられる必要がある。これらがなくて財政散見を進めれば、株式市場から手痛いしっぺ返しを受けることになるだろう。
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