平成13年8月7日

8月の投資戦略

7月の市場を振り返って

7月の株式市場はほぼ一貫して下落した。日経平均が7月30日に1万1,1579円となり、バブル崩壊後の安値を更新した。

日銀短観や鉱工業生産指数、失業率といったマクロの悪化が確認されたほか、松下通信(6281)、ソニー(6258)、富士通(6702)、松下(6752)などの第1四半期の決算が予想を上回る悪化となり、電機、通信セクター中心に売りが広がった。

7月13日にETFが上場、マクドナルド(2702)の上場も波乱なく通過し、さらにはサミットでは日本の構造改革が支持され、参議院選挙では自民党が圧勝したものの、相場へのインパクトは小さかった。

参院選挙後の注目ポイント

小泉首相は「参議院選挙後に構造改革の具体案を示す」と何度も明言したが、この8月は不良債権処理をはじめとしたひとつひとつの改革案の良否を判断していく相場となるだろう。

まず、8月10日に決定される2002年度の概算要求基準だ。国債の新規発行を30兆円に以下に抑え、かつ中・長期の成長分野への重点投資がおこなわれるのかどうか、公共事業の削減が足元の景況感をより悪化させないのかどうか、がポイントとなるだろう。

また、参議院選挙が終わって不良債権の処理加速による企業倒産の増加には注意が必要だ。それに対処するために、13〜14日にかけての日銀政策決定会合でさらなる金融緩和(構造改革を後押しするという姿勢を内外に示すことが重要だ)があり得るのか、にも注目が集まりそうだ。

また、9月上旬に発表される4〜6月のGDPをめぐって、補正予算論議が高まるかどうかも、焦点になりそうだ。

さらに、9月に開かれる臨時国会では、証券税制の見直し議論の内容や、銀行保有株取得機構の成立も焦点となるだろう。

大幅な下方修正が相次ぐハイテク銘柄

業績の下方修正が相次ぎハイテク株全般が売られた。

なかでも、松下は連結PBR1倍割れまでに下落し、プレミアムが完全にはげた形となった。他のハイテク株もPER面からの修正が進み高PERは姿を消している。

オールドエコノミー企業は、98年の金融危機やデフレ経済入りを境にして、経営改革・リストラを進めてきた結果、売り上げが伸びなくても収益回復を遂げてきた。

しかし、ハイテク企業は、ITバブルの影響でリストラを怠ってきたように思える。

例えば、富士通は半導体部門の収益が落ち込み、収益は大幅に悪化し、大幅な人員削減を含みリストラを迫られている。マーケットの要求はそこにある。

では、どのような銘柄を買うべきなのか

8月はマクロ、とくに小泉政権の舵取りに、相場は一喜一憂しそうだ。

7月の安値が短期的な底値なのか、それとも大底なのかの判断は、この8・9月半ばまでにはっきりするだろう。

時価会計の導入を控えての持ち合い解消売りが増加するだろう。これにたいして、長期資金である年金資金や個人投資家の待機資金がどれほど買い向かうのかが、相場の方向性を決めると思われる(外人はニュートラルとする)。

いずれにせよ、相場が本格反騰する条件はいまだ整っていない。そのため、物色は個別を重視したい。

なかでも、都市再生で恩恵を受ける銘柄や実体価値に比べて株価が出遅れている割安株、中・小型の低PER、株主重視の姿勢を明確に打ち出している銘柄群の押し目買いを提案したい。

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