
平成13年9月5日
8月の市場とハイテク銘柄について
☆8月の株式市場は2極化課の相場模様となった。
☆日経平均株価は確かにバブル崩壊後の安値を更新したものの、TOPOXは1998年の安値を大きく上回っている。その他の個別銘柄もおおかた、堅調に推移したといえる。
☆富士通(6702)、東芝(6502)、京セラ(6971)など主力のハイテク株が業績の下方修正を発表し、また未曾有のIT不況の影響を受けているニューヨーク株式市場に連動しやすい銘柄群(その代表が日経平均株価だが)が下げ止まらない。これにたいして、バリュー株(含み資産)、都市再生関連株、中・低位株が連日大商いで底値を切り上げた。(※京成電鉄(9009)、東急不動産(8815)、日本製鋼所(5631))
☆とくに、8月14日に日銀が量的緩和の拡大を決定してからはその傾向が顕著となっている。
☆さすがに、月末にはニューヨーク・ダウが1万ドルの大台を割り、120円を割り込むドル安・円高傾向となっては、売りが膨らんだ。
今後の注目点
☆参議院選挙で支持を受けた小泉政権であるが、国民のコンセンサスは構造改革を推し進めても「不況や証券恐慌を作りだしてもよい」と言うことではない。政府・公共部門の非効率的なもの、金融機関の不良債権処理を政治的に先送りにしないことが中心にある、と筆者は考える。
☆そのため,国債発行の限度枠を30兆円に固執したり、また足元の景気が悪化している、という理由で構造改革を先送りしてはならない。
☆一方、マーケットは不良債権の早期処理が、景気回復・日本経済の再建に不可欠と判断しながらも、そのために日本発の経済危機を作りだすような政策になるのではないか、との懸念を抱きはじめている。しかし、いまのところ外人は決して売り姿勢になってはいない。
☆よって、政府が早期に方向性と具体策を打ち出せば、内外から一定の評価を受けるだろう。
9月の株式市場の動向
☆9月も時価会計への本格的移行を控えて、不安定な相場になりそうだ。世界同時不況に対する不安が、債権への資金シフトを招く可能性はある
☆しかし、世界主要株式市場の下落に比べて、日経平均株価の下げは大きい。また資産面から判断した日本株に割安感が出てきている。
☆ニューヨーク株式市場の急落、ドルの急落、そして今後日本政府が打ち出す政策の失敗がなければ、反発の兆しが見られるのではないか。
やはりIT・ハイテク銘柄は避け、バリュー株にシフトすべき
☆ところで、下方修正をしたハイテク企業の株価が底堅くなりつつある。理由は、リストラを同時に発表したことによる。
☆しかし、それはITに偏ったポートフォリオを入れ替えるラスト・チャンス(すでに遅すぎる感はあるが)である、と筆者は考える。
☆IT・ハイテク株に割安感があるものがまったくないとは言い難い。しかし、電機株の時価総額比率、国内投資家の保有比率、そして米国景気の回復時期の遅れなどがある現状では、バリュー株が短・中期的に優位と判断される。
☆よって、9月は年再生を含めたバリュー株の押し目買いを狙う投資戦略を継続する。
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