平成13年10月5日

10月の投資戦略

9月の株式市場

中間決算期末の9月は波乱の相場になった。

米国での同時多発テロで米国株式市場が急落した。そして、弱含みで推移していた日経平均株価もあっさり10,000円の大台を割り込んだ。

外国人投資家が換金売りを出したほか、個人投資家も一部も投げ、ほぼ全面安の商状だった。

一方で、マイカルの倒産で構造改革が進むという期待感が一部ででたものの報復攻撃への不安感や米国のリセッション入り、ドル安傾向、国内景気のデフレスパイラル懸念、業績不安などが上値を重くした。

3年ごとに厳しい下落局面の経験している日本の株式市場

バブル崩壊後、日本の株式市場は3年ごとに厳しい下落局面がきている。

最初は、バブル崩壊を確認させられた1992年8月だった。

次は、1995年半ばで、阪神大震災、1$=80円までになった急激な円高によるものだ。

3番目は1998年10月の米LTCMの破綻、アジア金融危機に端を発した世界的な金融危機だ。

最後は、今回の米国の同時多発テロである。

92年の時は、90年代初の財政出動・株式評価の先送りがおこなわれた。

95年の時には、日銀の国債購入と円安誘導が行われ、そして98年には銀行への公的資金注入と何でもありの財政出動が株価反発のきっかけとなった。すなわち、政府の対応・危機回避策が株価底入れにつながったといえる。

今回も、小泉政権が「危機」を十二分に認識し、機動的な政策運営を行うことが不可欠のように思える。とくに、米国経済がリセッション入りし、世界経済が牽引役を失ったことを認識すべきである。

IT不況の深刻化、テロによる消費減退は、利下げや財政出動では容易にカバーできないことを前提とした、日本の政策当局の対応が求められる。

諸条件からは日本株の割高感は解消されつつあるが

この10月は、確定拠出年金法、いわゆる日本版401Kの施行、金庫株の解禁、単元株の導入など、新しい動きがでてきた。

また、証券税制の改革(株式を買うことの有利性を打ち出すことが求められる)や不良債権の処理促進の制度も徐々に整えられてきている。

さらには、日経平均株価が短期間で10,000円の大台を割れ、PER、PBR、配当利回りの面から、日本株の割高感は解消されつつある。

しかし他方で、株価下落による金融機関の経営問題、大手ゼネコン・流通企業の倒産懸念、そしてハイテク企業を中心とした下方修正ラッシュは、より投資を慎重にさせそうだ。

ここ数ヶ月間はバリュエーションと需給、業績悪化との綱引きとなるのではないか。

10月の投資戦略

投資スタンスは、個別銘柄の突っ込み買いでのぞむ。

セクター判断としては、テロ事件の影響とリストラの内容を見極めながらも、ハイテク株を引き続き弱気とし、そして公的支援が決まらない銀行株は中立からやや弱気に変更した。

そして、日経平均株価の今下期の想定レンジは8,500〜13,000円とした。

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※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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