
平成13年11月6日
10月の株式市場
☆10月の株式市場は堅調だった。
☆米国が緊急利下げや財政支出拡大を決定したのをはじめ、世界が協調政策を実施したことで、テロ後の世界経済は危機を免れた。
☆そのため、米国株式市場が急反発した、日本株も米国株と連動するかたちで上昇し、9月21日の9,382円を安値にして日経平均はテロ前の水準を回復した。
☆この上昇は需給面での要因も大きく、買い残を売り残で割った信用倍率が過去最低になったほか、公的資金の買いや持ち合い解消の一時的な減少があった。
決算発表が続く
☆この11月も9月の中間決算発表が相次ぐ。
☆10月に発表のあったアドバンテスト(6857)、富士通(6702)、NEC(6701)、松下電工(6991)などの主力ハイテク株の、今中間期収益は大幅に下方修正された。しかし、おおかたサプライズなしと受け取られたため、決算発表後に株価は大きく下落しなかった。
☆下期の見通しは全く読めないものの、クリスマス商戦そして来期の回復期待が残っているようだ。
☆ただ、ハイテク業界は、供給過剰という構造的問題から脱しておらず、相対的に強気にはなりがたい。
米国のV字型回復を期待する向きもあるが
☆米国では楽観論が増加している。
☆ハロンズの記事では、ポートフォリオ・マネージャーの63%がブルに転じ、今までにない強気派の増加という。米国景気の底は2002年1〜3月期で、その後はV字型に近い回復を見せる、というのがコンセンサスになりつつある。
☆しかし、10月の消費者信頼感指数は7年ぶりの低水準で、足下の景気は厳しい。
試練の銀行
☆来年2002年4月のペイオフを控え、今のままの金融庁行政では、金融不安の懸念が徐々に高まるだろう。
☆金融庁は特別検査を年内にも実施する。それにともない、銀行の不良債権処理は相当なものになり、自己資本不足に陥る銀行がでてくる可能性が指摘されている。
☆マーケットは公的資金の再注入による政府主導の銀行再建を望んでおり、それがない限り銀行株のトレンドも下向きに、また徐々にマーケット全体に悪影響を与える可能性もある。
今後の動き
☆この11月は、日銀が「2002年度のGDP(成長)がマイナスになる可能性大」とみているように、ファンダメンタルズがより悪化しているなか、株式市場では需給面での下支えがどの程度あるかがポイントになりそうだ。
☆また、MSCIの銘柄入れ替えの実施や電通の上場、アフガニスタン情勢にくわえて、小泉内閣の「改革」後退(予算シーズンになる11・12月は自民党内でのせめぎ合いが目立つようになるだろう)に注意が必要だ。
☆株価面ではいまだに格差は広がってはいない。しかし、収益力の差は顕著になりつつある。
☆そごうやマイカルの経営破綻後の小売業界のように、業界内での「勝ち組」企業の優位が拡大し、残存者メリットがでてきそうだ。
11月の注目点
☆9〜13日までカタールで開催されるWTO閣僚会議で、中国が正式にWTO加盟を認められる見通しだ。
☆世界の工場としてすでに日本企業を脅かす存在になっている。やや矛盾するが、個別企業ベースではその恩恵を受けやすく中国関連株が人気化する可能性を考えたい。
☆最後に、資金の逃避先として中・小型成長株の物色が続くだろう。
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