平成13年12月10日

12月の投資戦略

11月の株式市場

11月の日経平均株価は、円安や米国株式市場高を背景として堅調に推移した。

とくにハイテク株は、米国株と連動するかたちで、また国内の機関投資家の一部も組み入れを急いだことから、戻り歩調を強めた。

銀行株全般は、あさひ銀行が一時100円を割り込むなど、下値模索の展開となった。しかし、法定準備金を取崩してまで不良債権処理を進めることが伝えられ、買い戻しが入った。

一方で、テロの影響で大成火災が経営破綻したり、本業の不振で新潟鉄鋼が会社更生法を申請するなど、信用不安の高まりから低位株の見切り売りが続き、100円割れ銘柄数がバブル後最高の水準まで増加した。

今回の企業収益の特徴

2002年3月期の収益は、円高・世界景気の後退の影響を受けた1978年3月以来の減益幅となる見通しだ。

今回の特徴としては、次のようなものがある。

問題は来期の回復度合いがどの程度か、ということになろうが、米国の景気回復やリストラだけでは回復力は限られる。

やはり、国内の景気回復がなければ、株価の本格上昇も難しい。

日本経済誌深刻な空洞化

ある試算では、産業空洞化に歯止めがかからなければ、2005年から10年の平均成長率は0.5%にとどまるという。

現在、生産拠点として台頭する中国と日本を比較すれば、ビジネスコストの差は歴然だ。賃金はもちろんのこと、日本の大口電力は約3倍、工業団地購入価格は30倍以上、水道料金は1.3倍などであるほか、原料価格が極端に高い場合や政府の規制も多い。

企業経営者も空洞化に悩みながらも、高付加価値が無理な製品はどうしても安い地域に向かわざるを得ないのが現状だ。早期の構造改革・成長企業の育成が不可欠となるだろう。

とくに成長産業の育成は急務で、IT、ヘルスケアサービス、環境・リサイクル、それに忘れてはならないのが金融分野、と考える。

業績悪化を織り込みつつある株価

日経平均株価は、ハイテク株や値がさ株の堅調で何とか10,000円の大台を保っている。

しかし、低位株を中心に年初来安値を更新する銘柄が目立ってきた。

日経平均株価やTOPIXの下落が加速しながらも、テーマ株、個別株の人気があったテロ前の市場環境、物色と現在は全く逆の様相のように思える。すなわち、現在は個別株でみれば、かなりの業績の悪化を織り込みつつあるといえそうだ

日本国債の格下げの影響も短期的には軽微だったように、国内景気がデフレスパイラルに陥らなければという前提で、下値リスクはそれほど大きくはないように考える。

また、12月は外国人の買い越しの多い月であることから、業界内での勝ち組の押し目を待ちながら、安値圏にある銘柄のリターンを狙いたい。

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