平成14年2月5日

平成14年2月の投資戦略

1月の株式市場

1月の株式市場はほぼ右肩下がりの展開となり、日経平均株価はふたたび10,000円の大台を割り込んだ。

米国の昨年の10〜12月期実質成長率が0.2%となったこと、そして一時1$=135円台を目指す円安効果も、富士通東芝NECなどの主力ハイテク企業の赤字幅拡大、構造改革の遅れ、不良債権問題がうち消したかたちとなった。

新規公開株や新興市場に流れる資金

逆に、新規公開株人気が続いている。昨年の「電通」「野村総合研究所」そして今年に入っての「ぴあ」まで、」、知名度の高かった銘柄が急騰したことで参加者の回転が効いているようだ。

新興市場の売買も活発。持ち合い解消売りや信用不安で下落している東証1部・2部銘柄に失望した個人投資家の短期資金が流入している模様だ。

しかし、ディーリング的な発想である「1カイ2ヤリ」の参加者比率が増えて、値動きが激しいうえ、中期的な成長率を加味しても容認できない高PER水準まで買われている銘柄も多くなっている。注意が必要になる局面だ。

市場は買い手不在の状態

相場は買い手不在の状態。1月第4週までの主体別動向の集計では、都銀などの銀行は17週連続の売り越しとなっているほか、外人や生損保の売越額が拡大している。

とりわけ、2月は決算に絡んだ売りが加速すると見られ、株式の需給面からはより不安定になりそうだ。

今後の市場の展開

1月18日のダイエー新3カ年再建計画の決定、ゼネコンの処理策の動向、さきの田中外務大臣更迭問題は、「変わらない日本」という印象を外人投資家に改めて印象づけたように思える。

1月末の株安、円安、債券安というトリプル安は、本格的な日本売りの始まりになりかねない。米国、欧州そしてアジアの景気が回復基調にあり、その影響で在庫調整・生産のボトムアウトの兆しが見えようとも、資産デフレが終焉をしない限り、日本の金融市場全般を楽観的にとらえることはできそうもない。

この2・3月は「金融危機を起こさせない」政策を打ち出すことが、株式市場反発の必要条件となりそうだ。

当面、市場は「デフレ経済」からの脱却と「構造改革」を催促する、下値模索の展開となるのではないか。

バリュエーションの下支えと8〜9日のG7、そして17日からのブッシュ大統領訪日という外圧に期待する。

銘柄選択は中・長期で

日本企業にリストラは急ピッチ。不採算事業からの撤退と売却、人員の大幅な削減、財務リストラなどに目処をつけた企業が増えてきた。

一方、ファーストリテーリングの既存店売上高が大幅減になっていることやマクドナルドが事実上の値上げを表明したことに象徴されるが、昨年破壊ともいわれた価格下落圧力は収まりつつある。

そういうなかでは、過度の信用不安で売られすぎた低位株の反発余地は残されている、と筆者は考える。

ただ、長い目で見れば、成長分野に経営資源を集中できる企業、真の競争力を持つ企業、残存者メリットを得る企業が、より優位な状況に変りはない。

相場全般が下値を模索すれば、それらの銘柄群を中・長期的な視点で拾っていきたい。

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※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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