平成14年3月5日

平成14年3月の投資戦略
2月の株式市場

金融行政にたいする不信感や大手電機メーカーの赤字幅拡大、田中外相更迭問題による小泉政権の支持率急低下など相まって、2月の株式市場は1月の悪地合を引き継いで始まった。

日経平均株価は昨年の9月21日のザラ場安値に近づき、またTOPIXはバブル崩壊後の安値を一時割り込んだ。

しかし、2月17日にはブッシュ米大統領の初来日、27日の「総合デフレ対策」の発表、米国経済の回復基調、円安傾向、カラ売り規制の強化もあって、売り方の買い戻しが活発化した。その結果、日経平均株価は10,000円の大台を回復して、波乱の2月相場は終了した。

総合デフレ対策以後の相場

2月27日に明らかになった、政府の「総合デフレ対策」は市場間易者の評価は概ね厳しい。

政権のの枠組みを維持しながらでの対策なので、やむを得ない側面もあるが、具体的に踏み込んだ内容に乏しい。

しかし、この対策はあくまでも第一弾にすぎず、今後は不良債権にたいする抜本的な諸施策が打ち出される可能性が高い、とも市場では認識している。

市場が期待しているものは、「金融危機がくれば」の前提ではなく、既に「危機の最中」にある、今すぐに公的資金を銀行に注入して構造改革を進めるというものだ。

その結果、経営が成り立たない企業は市場から退出してもらい、その分の資金や経営資源を成長分野・成長企業に集中して、産業再生・日本再生を目指すということにある。


当面は、月内の発表が予定される金融庁の特別検査の内容と、その後の政府の対策(とくに証券・不動産面での税制改正)が注目点となる。


ただし、株価に素直に効いたのは、日銀の緊急危機対応と「カラ売り対策の強化」だった。カラ売り規制は重大な法令違反にたいする厳罰ならともかくも、3月末のPKO(株価維持策)のために売り方を締め上げた側面もあるから、来年度には市場から不信任を突きつけられる可能性がある。


ダイエー再建策などが発表されたが

先日発表されたダイエー(8263)の新3カ年計画は、貸し手である銀行のための再建策のように感じざるを得ない。依然として、同社の経営は前途多難、と筆者は判断している。

その他、大手ゼネコンなどの過剰債務企業や業績不振企業の債務免除も発表されてはいるが、問題先送りの感が強い。

今後の銘柄選択の視点

2月27日現在、東証一部の100円割れ銘柄は143までに減少した(バブル崩壊後のピークは208銘柄)。また、中・低位株の反発が目立ってきたほか、信用売り残の多い銘柄の買い戻しが活発化している。

しかし、循環的な景気回復を背景とした企業収益の回復は、急ピッチで株価に織り込まれつつある。また、信用不安で実態以上に売られた株価の水準訂正もかなり進行しつつある。

よって、日銀の量的緩和拡大を背景として流動性の高い低位大型株の一角、例えば事業再構築が見られる企業や額面を割り込んでいた銘柄推奨したい。

また、行政が好調でバリュエーションの低い銘柄にも注目している。


※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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