平成14年5月2日

平成14年5月の投資戦略
4月の株式市場

4月の株式市場は不良債権処理の遅れや政治スキャンダルという懸念材料が重しになったものの、売り圧力が乏しく、概ね堅調に推移した。

日経平均株価の動きは、1万1,000円台から高値の1万1,700円台というレンジ内でとどまった。しかし、ネット証券経由の個人投資家、ディーラーなどが活発に個別物色を行い、年初来高値を更新する銘柄が中・低位株中心に目立った。

なかでも、電子部品株や小売り関連株の足元の月次受注や売上が回復傾向にあるものが買われたほか、循環的なマクロ景気回復によって企業業績の回復期待が追い風となった。

不安定さ増す日本の政治

国民の期待を背負った小泉政権は1年が経過した。しかし、「構造改革」は何も進まず国民の期待は失望に変わりつつある。

S&Pが日本の格付けをAAからAA−に格下げし、G’のなかで最低の格付けになった。参院新潟選挙区補選では自民党候補が大敗し、ムーディーズの追随格下げも懸念されるほか、重要法案の審議や今後の政策運営に影響がでるのは必至の情勢だ。

予断を許さない米国経済

個人消費の堅調と在庫調整の進展で、米国の1〜3月期のGDPは5.8%増と非常に高い成長となった。

しかし、米国経済はマクロの好調にくらべて、ミクロすなわち企業業績はITバブルの後遺症等で設備投資の低迷など、回復度合いが弱いことが1〜3月期の数字で明らかになった。現在の日本とは全く逆の構図のようにも思える状況だ。

そのうえ、中東情勢の緊迫化による原油価格の高止まり、ブッシュ政権の求心力低下にドル安圧力がくわわり、
米国経済の先行き不安定さと株式市場の下落懸念が増している。

5月の株式市場と物色動向

5月の株式市場は、強弱両材料が交錯するなかでも好需給から強含みの展開を想定する。

前3月期決算の発表がおこなわれる過程で、リストラ効果や世界的な景気回復の恩恵によって、今期の企業収益は経常利益ベースでのV字型回復が、つづく来期は特損の減少で当期利益の大幅な回復が、マーケットコンセンサスになると思われる。


そのため、株価は来期の利益水準を織り込み、上値を試す動きも予想される。


一方、自社株買いの急増で株価の下支え効果も期待される。

とはいえ、ドル安・円高のリスクにくわえ、米国経済・株式市場の行方を鑑み、また6月にも明らかになりそうな税制改革や追加のデフレ対策の内容を勘案しても、相場全体を買い上げるリスクは大きいと考える。

よって、景気回復の恩恵を受ける内需型企業、とくに小売り関連セクターを強気に、またリストラ、経営改革を推進する、あるいは経営資源を得意分野に集中する素材型企業に注目しておきたい。

一方でバリュエーションが高く、国内の機関投資家の保有比率が高いハイテク関連株や財務体質の弱い銘柄群、そして銀行株をさけることが賢明であろう。


※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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