平成14年7月2日
6月の市場を振り返って
☆6月の株式市場は、筆者が想定したよりもやや早い時期に下げ、かつ1ヶ月間の下落幅も大きかった(日経平均株価は1,100円以上、10%弱下げた)。
☆昨年12月のエンロン破綻に続き、米国企業の不正会計疑惑が相次ぐなか、通信大手のワールドコムの巨額粉飾決算の発覚、テロの再発懸念、マイクロンの赤字決算もサプライズとなって、ナスダック総合指数は一時、昨年のテロ後の安値を下回り、世界的な同時株安を招いた。
☆その影響で、ドル安、ユーロ高・円高が進行し、日本株は輸出関連を中心に売られた。
☆また、政府保有株の放出による需給悪化懸念や、政府が明らかにした追加デフレ対策や税制改革などが市場が期待するものとはほど遠かったことから、失望売りやヘッジ売りが加速した。
底入れが近い米国
☆足元の米国は前述のように、ミクロ(企業)が悪く、マクロ(GDPなど)が好調といった状況だ。
☆一段のドル安には要注意だが、90年代の日本の失敗に学ぶFRBの金融政策やドル高修正の効果、バリュエーションなどから、米国株は短期的な底入れも近いと思われる。
☆ただし、中・長期的な問題として貿易収支、財政収支の赤字や株高神話の崩壊による悪影響が懸念されるが。
割高感の乏しい日本株式
☆7月は米国市場をにらみながら短期的な売られすぎによるリバウンド、あるいは底固めをする局面を想定する。
☆今期の収益のV字型回復を完全に織り込む前に株価は下落したため、日本株全体はPER、PBRなどの指標面で割高感も乏しくなった。
☆さらに、エレクトロニクス業界の足元と先行きは、マーケットのセンチメントほどには悪くなく、また鉄鋼をはじめとした素材もアジア向け輸出が堅調だ。
☆ただし、政府が政府部門のリストラをおこなわずして構造改革を進めようとすれば、「活力ある税制改革」は無理で、「財政改革に伴う景気後退」と「深刻な不良債権問題」を材料にマーケットは再び「日本売り」を仕掛けることを忘れずにおきたい。
7月の物色の方向
☆今後は、
ことを提案したい。
- リストラが進展しつつあるハイテクなどの製造業が消去法的に見直される可能性があること
- 今期・来期と収益回復度合いが高く、かつ低バリュエーションン銘柄を買うチャンスであること
- 過去最高益を更新する銘柄群を拾う
☆直近の6月第3週までで、個人投資家は4週連続の買い越しとなっている。
☆とくに、10,000円割れ寸前にかけて下落した局面では、現金の買いが急増したようだ。
☆ネット取引による売買で短期のさや取りを狙う向きも多いが、個人の逆バリ・スタンスは相場の下支えとなるだろう。
☆また、7月・8月には売買単位を引き下げる銘柄が多い。
☆高成長が期待される値がさ株、または市場の人気が続く銘柄の売買単位が引き下げられる。そして株価が高くて個人には買いがたい代表選手のように見られた武田も9月から100株になる。
☆投資家のすそ野の拡大と株価安定化効果に期待したい。
☆また、企業発表の上限は9兆円ともいわれる自社株買いが持ち合い解消売りどの程度吸収するかが注目される。
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