平成14年8月2日

平成14年8月の投資戦略
7月の市場を振り返って

7月の株式市場は、日経平均株価が10,000円の大台を5ヶ月ぶりに割り込み、2月につけたバブル後最安値9,420円に近づくなど、全般的に全般的に下値模索の展開となった。

米国金融市場が不正会計疑惑に揺れている最中に、ワールド・コムがエンロンを上回る史上最大規模の経営破綻となり、外為市場ではドル安・ユーロ高・円高が進行した。

また、ニューヨークダウは8,000ドル、ナスダックは1,300ポイントの大台を割り込んだ。この米国の株安は世界的な株安を招き、外国人投資家の日本株売りも加速した。

このような環境下で、外国人投資家保有比率の高い銘柄や、輸出関連株が円高を嫌気して値を大きく崩す一方で、業績の堅調な内需関連株や中国関連株は堅調に推移した。

8月の株式市場

8月相場も7月の悪地合を引き継ぐ懸念がある。

米国の株式市場は、企業改革法が成立したことや、イールドレシオがここ15年間で最低水準に低下したほか、高水準のカラ売り残があるなかで、短期売買が急増。短期的なセリングクライマックスを迎えた可能性はある。

しかし、4〜6月のGDP速報は1〜3月期比年換算で1.1%増と急減速。個人消費も息切れしつつあることを伺わせる内容だった。

日本の主力企業の第1四半期は概ね好調だったが

日本の主力電機および自動車企業の第1四半期の決算を総括すれば、リストラなどをふくめた構造改革の効果や、北米での生産・販売の好調、在庫調整の進展、半導体・液晶などの販売回復もくわわって、当初予想よりも概ね好調だったといえよう。

ただし、円高にもかかわらず第1四半期としては過去最高の売上高を確保したソニーにしても、米国の消費動向に収益が左右される面は否定できない。


そのため、PERが高いハイテク主力株は今後、値下がりリスクが残りそうだ。


一方、株式需給面では、個人や年金の買いは期待できるが、例年株主総会後の7〜9月、とくに8月は持ち合い解消売りが相対的に増加する傾向があるようだ。

足元の株価が軟調なこともあって、解消売りの動きは目立ってはいないものの、株価が戻れば顕在化する懸念がある。


今後の対応は

日経平均株価が新安値を更新する局面が来れば、景気動向、金融機関の経営、株式市場をにらんだ政策が打ち出される可能性が大きい

既にその兆候が見えている。

例えば、7月30日に小泉首相は来年4月のペイオフ全面解禁を控えて、決済機能の保護を金融担当大臣に指示し、実質的な見直し作業に入った。また、来年度予算は緊縮の方向ながらも国債30兆円枠にこだわらないとのことだ。

このように、中間決算、来年3月期にむけて、小泉政権は「何でもあり」の短期的な施策に追い込まれるのではないか。

唯一「構造改革」を期待させる材料となるのは9月にむけての政治動向、すなわち長野県の知事選、民主党の代表選、内閣改造だろう。


以上のことを鑑みれば、物色はやはり内需中心の好業績企業に絞るべきだろう。


※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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