平成14年11月2日

平成14年11月の投資戦略
10月の株式市場

10月の日経平均株価はバブル崩壊後の安値を連日更新し、10日には8,197円の安値を付けた。

9月末の内閣構造で金融大臣を兼任した竹中大臣の発言(竹中ショック)などで不良債権の処理が加速し、業績不振企業の経営破綻が相次ぐとの思惑から市場は混乱。負債過剰企業や金融株が軒並み売られたほか、米国株、海外株安を受けて総合電機株なども大きく売られた。

月末にかけて政府の総合デフレ対策の発表や9月中間決算の発表待ちで、全般的には出来高薄の様子見が広がり、日経平均株価の月足は5ヶ月連続の陰線となった。

暗い話題が多いなか、島津製作所の研究員がノーベル賞を受賞し同社株が賑わったほか、業績が情報された銘柄群、なかでも自動車関連株が買われた。

今後の株式市場の動向


10月30日に政府は総合デフレ対策を発表した。

不良債権の処理策では、資産査定・自己資本の厳格化などが打ち出されたが、焦点といわれた税効果会計の見直しは事実上先送り、11月中に「金融再生アクションプラン」のような作業工程表を作成し、今後不良債権の加速にむけて具体的な内容を詰めていく方針だ。

また、産業再生の枠組みと中小企業金融の拡充、雇用対策の充実といったセーフティネットの強化を前面に押し出し、税制・規制改革の推進を盛り込んだ。

ただ、与党側からも批判が相次いだ今回の内容には、目新しいものはあまりないうえ、補正予算もふくめた詳細はこれからの議論待ちという先送り状態になった。

それを受けて株式市場では、今回の対策が「ハードではなくてソフト路線」というイメージでとらえた感もあり、また年金の買いや日銀の株式直接買い付けの開始、企業の自社株買いの急増といった需給面での下支えが期待されることから、ひとまず小康状態を保ちつつある。

しかし、9月の鉱工業生産は前年比0.3%減と踊り場を迎えるなかで景気の落ち込みが懸念されるほか、10年物国債の利回りは98年11月以来の1%割れとなるなどから判断すれば、株式市場は依然として不安定な動きとなりそうである。

当面は補正予算の規模と税制改革論議、作業工程表の具体的な内容、13日に発表予定の7〜9月期のGDP、9月中間決算発表(月末の銀行まで)、中間選挙(5日)後のイラク情勢を睨んだ米国株と為替市場の動向を見据えながらの動きとなりそうだ。


とくに5年ぶりの低い伸びにとどまりそうな米国のクリスマス商戦の状況は、本国の株価状況に左右されやすい外国人投資家の売買動向や今年度下期以降の日本企業の収益に与える影響が大きく、注意深く見守る必要がありそうだ。


以上のことから、今月の投資スタンスは業績、バリュエーションを重視した個別銘柄の選別を重視したい。

税制改革論議

一方で税制改革議論の進展を期待する
とくに、構造的に買い手不在に陥っている日本株は個人マネーを取り込むことが不可欠だ。

複雑な証券税制の導入はナンセンスで、むしろ株式の譲渡益課税を一時的にゼロにするといった英断を期待したい。


※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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