平成15年2月3日

平成15年2月の投資戦略
1月の株式市場を振り返って

年初に発表された米国ISM製造業景気指数がよい数字だったため、昨年大幅安となった世界の株式市場は急反発して始まった。

その後は、イラク情勢の緊迫化、ドル安の進行、景気減速懸念などがくわわり、欧米の株式市場の上昇は長くは続かなかった。

日本の株式市場も中旬までは、大手銀行の資本増強策、企業再生の進展期待などや外国人の買い越し(1月第2週には2,100億円)に刺激され低位株が活況となり、1月の月間平均売買高は8億株弱、100円割れ銘柄も昨年11月のピーク214銘柄からかなり減少した。

しかし、月後半にかけては欧米株の調整、ドル安・円高傾向、国債への資金の集中、持ち合い解消売りの増加、年金基金の代行返上に絡む売りで、主力株全般が下落し、日経平均株価はバブル崩壊後の安値を窺う動きとなっている。

2月の株式市場の動向


2月の株式市場を取り巻く環境は依然として、不透明要因が多い。

大手銀行にたいする特別検査の開始、新生銀行の瑕疵担保期限到来とそれに伴う信用不安の再発懸念。また、昨年9月末と比較して株価が下落していることによる株式含み損の問題、イラク攻撃・北朝鮮核開発疑惑の緊迫化など。

さらに、オーバーバリューの水準にある米国株の調整幅も問題だ。

株式需給を見ても、大手銀行は今下期に保有株の売却を加速(1〜3月の間に3兆円近く売却する計画)する予定のほか、国内の他の金融機関や事業法人の株式売却圧力は強い。

とはいえ、裏を返せば不透明要因が悪材料として表面化するので、2月は材料出尽くし感がマーケットに広がる可能性がある。

よって、2月の投資スタンスとしてはテクニカル・リバウンドを加味した突っ込み買いで対処したい(もっとも相場の底入れは景気後退が鮮明化する年後半になりそうだ)。

なぜなら、世界的なデフレ懸念が高まっているが、ブッシュ大統領が発表した米国の10年間で6,700億ドルの景気対策効果が期待が出始める可能性があること、旧正月明けの中国からの発注が拡大するすること、3月期末にかけての政府・金融担当者のPKO的な動きが例年見られること、そして日銀による株式購入(現在は2兆円が上限だが、場合によっては拡大する期待もある)やヘッジ・ファンドの貸株返却による買い戻しが活発化すると思われるからである。


銘柄選択の視点

昨年8月からの株式の配当利回りが国債の10年債利回りを上回る、逆転現象が続いている。もちろん、長期金利の異常な低下や株価下落などの不確実制の高まりがあって、株価の好材料として信頼しにくい。

だが、米国ではマイクロソフトが初めて配当の実施を発表した。

日・米ともに配当にたいする税制面での優遇が政策に織り込まれたほか、配当だけでなく自社株買いなどの株主優遇にたいする上場企業の姿勢変化に注目すべきだろう

とくに、安定成長を続けながら2%前後以上の配当利回りが予想される銘柄群、食事券などの株主優待に注力している銘柄は投資チャンスと考える。

一方、規制緩和や業界政変で収益性が改善している企業群、DVDや液晶、携帯電話などの成長分野で高技術を有する企業、またはニッチな分野の高成長企業を発掘する努力が必要となろう。


※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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