平成15年3月3日
2月の株式市場を振り返って
☆日経平均の2月松野の終値は8,363円と昨年11月14日のバブル崩壊後の安値8,303円に接近した。
☆イラク問題とともに北朝鮮という「地政学的な不確実性」にくわえ、原油の高騰、円高(115円台に接近)が懸念材料となったこと、そして持ち合い解消売りや代行返上に絡む換金売りといった需給面での売り圧力も強く、主力ハイテク株が軟調だった。
☆また、大手銀行は相次いで資本増強策を打ち出しているものの、みずほホールディングスが再び10万円を割り込むなど、株価はむしろ下落歩調にある。
☆ヘッジファンドのカラ売りや資本増強策の実現性に疑問を持つ向きがあるうえ、繰り延べ税金資産の計上を厳格化するなどの問題で、資本不足を解消するためには公的資金の注入が不可欠との判断が働いているようだ。
☆一方で、外人の買い越し基調や公的年金資金と見られるサポート買いが相場全般の下値を支えたことで、日経平均株価は8,300円〜8,800円のレンジ、と相場全般は膠着状態にある。
☆しかし、東証一部の1日あたり平均売買高は8億4,000万株強と昨年5月以来の高水準だ。
☆ネット証券経由と見られる個人投資家の回転売買やそれに追随したディーラーの商いがくわわって出来高は増加したものの、低位株中心の商いで売買代金は低水準。
☆物色対象としては、高利回り銘柄群、業績回復が見られる中国関連株が賑わったほか、商品市況の上昇により素材の一部に買いが入った。
3月の株式市場の動向
☆3月は決算期末にあたるため、金融危機を起こさせないという政府の意向が働くなどの特殊事情を加味する必要がある。
☆しかし、今年に限ってはイラク攻撃への不安が残るほか、需給面では依存として銀行や生保などの駆け込み的な持ち合い解消売りが続き、14日のSQまでは裁定解消の売り物も懸念される。
☆また、竹中大臣の「ETFを買えば絶対儲かる」という失言によって金融当局は露骨な株価対策を打ち出しにくくなっている。そのため、いったんは日経平均株価が大きく下ブレすることを覚悟するリスク対応型の投資スタンスが望まれる。
☆ただし、ヘッジファンドの買い戻しは例年よりも遅れている模様であり、日銀の株式買い取りや配当取りといった需給面での改善が月後半に予想されるほか、福井日銀新総裁(20日誕生予定)の金融政策の舵取りも株価下支え効果として期待が持てよう。
☆また、投資マインドが落ち着けば、企業業績を素直に織り込むことも可能であると考えている。
☆2003年度の実質GDP成長率は0.4%程度のプラスがいまのところコンセンサスとなっている。イラク問題の早期解決や、米国市場や為替の落ち着きがあれば、今期・来期の増益を評価する動きがありそうだ。
銘柄選択の視点
☆物色面では中・低位株の高値づかみに注意したい。
☆信用リスクの一時的な後退や固定費削減効果による業績回復が年初からの株価上昇を支えていた。しかし、3月期末後から新年度にかけては選別物色が例年見られること、主力株の急激な株価下落で中・低位株のバリュエーションに割安感が乏しくなりつつあることからだ。
☆中・低位株は、内需の力強い回復が見込めないなかでは、中国市場の成長の恩恵を受ける銘柄群に絞りたい。
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