平成15年4月1日

平成15年4月の投資戦略
波乱の3月の株式市場

日経平均株価は3月11日に7,862円(終値ベース)とバブル崩壊後の安値を付け、1983年以来20年ぶりに8,000円の大台を割った。

イラク情勢にくわえ北朝鮮情勢の不透明感から、世界的な株価下落、ドル安、原油・金価格の上昇などが足を引っ張った。

また、代行返上に絡む売りや持ち合い解消売りによる主力株の下落、増資を決定した大手銀行株に売り圧力が強まったことも相場の地合いを悪化させた。

しかし、イラク戦争開戦後は早期解決シナリオが台頭し、ニューヨークダウは1998年12月以来の8日上伸と米国株が急反発、日本株も連れ高した。

とはいえ、昨年に実施された空売り規制の影響で買い戻し圧力は乏しく、海外株と比べて日本株の上昇幅は限定的だった。また、イラク戦争の行方が不透明になってきたことから、3月末の日経平均株価は7,972円となった。


相場の上値は限定的

2003年度上半期の日経平均株価の予想レンジは7,000円台前半から9,000円台後半を筆者はイメージしている。

イラク戦争、北朝鮮問題等による世界経済・政治の不安定化、日本のデフレ経済継続、不良債権問題の先送りなど、多くの懸念材料を抱えているため、上値は限定的と見ている。とくに、米国政府の誤算が徐々に表面化したイラク戦争は長期化の様相を見せ始めている。

3ヶ月以上の長期戦となった場合は、世界経済および日本経済全体に下押し圧力が強まるうえ、ドルや米国の株価に少なからず影響を与えよう。

さらに、国内では、今月以降、社会保障制度の負担増や給付削減が相次ぐほか、発泡酒やたばこの増税が行われ、家計部門は年間で4.5兆円程度の負担増となり、これだけでGDPを0.7%から0.8%押し下げる計算となる。

サラリーマン世帯の実質収入は減少傾向で、また、厚生年金基金解散など等で将来不安が高まっているだけに消費に与える影響は大きい。

一方、政府・与党内では、デフレ・株価、金融システム対策などが検討されているが、いずれも問題の先送りの対策が目立ち始めている。

しかしながら、本来の株価対策とは株式に魅力を感じる方策であって、「買い手」に不都合な税制等の諸制度を見直す事が肝要である。


今後の株式市場の動向

株式需給面では、2002年度後半から2003年度にかけて一番厳しい局面と思われる。企業年金の多くが代行返上を希望しているうえ、株主資本の範囲内まで減らした大手銀グループ、生保、含み損が急拡大した事業法人も財務安定化を目指し、今後も株式の売却を進めるであろうからだ。

買い手としては、自社株買い、日銀(銀行保有株式買取り枠は3兆円に拡大)、内外の新規流入分の年金資金であろうが、買い手不足に変わりはなく、2003年度は個人のスタンスが鍵を握ると考える。

マクロ経済がマイナスであれば、下期以降の下方修正リスクは残るが、企業業績は2003年度も経常増益が見込まれる。固定費削減(リストラ)効果が大きいのと中国・アジアをはじめとした海外事業の収益拡大が寄与するためだ。

また、PBRが1.2倍まで低下するなど、バリュエーション面で日本株の割安感が出始めており、3月期の好決算が確認できる4月末から5月にかけては、季節的な要因も重なって相場全体は強含む可能性があろう。


銘柄選択の視点

物色面からは当面、主力株は手掛け難い。業績面で世界的な景気に左右されやすく、また、需給面でも売り圧力が強いため。そのため、中小型の低バリュー銘柄、業界内での勝ち組銘柄に絞りたい。


※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


お問合せ・ご意見はこちらへ otoiawase@8katsumi.sakura.ne.jp