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【投資戦略】
最終更新日:2003年9月8日
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(平成15年9月3日)
平成15年9月の投資戦略 |
8月も好調だった株式市場
8月の日本の株式市場は急ピッチな上げ警戒感とお盆休み入りの参加者の減少を跳ね返す大商いが連日続いた。7日を底に上昇基調を強め、8月末の日経平均株価は1万0343.43円と1万円の大台を回復して終えた。
12日に発表された4〜6月のGDP統計(実質ベース)が前期比0.6%増と事前予想を上回ったことや、米国では小売業界の業績回復や北米半導体製造装置BBレシオが順調となるなど、景気回復が裏付けられる材料が相次いだことから、NASDAQ、ニューヨークダウともに高値更新となって、日本株には追い風となった。
物色では、鉄鋼、紙パルプ、造船といった中・低位の景気敏感株が活況で値をとばしたほか、大手銀行株も上値を追う展開で指数の上昇を支えた。
需給面では、インターネット経由の個人投資家の売買が依然として旺盛であったが、昨年3月以来の大幅な買い越し(6,000億円)を第3週に買い越した外国人がやはり牽引役だった。
国内勢は相変わらず売り越し基調。代行返上から身の売りが多くを占めると見られる信託銀行は2兆4,000億円弱、長都地銀は1兆円強の売り越し(いずれも年初から8月22日までの累計)となっている。
しかし、9月には国内勢の需給改善が期待される。返上絡みの売りがピークを超えつつあること、銀行も中間期末に向け売りを抑制すること、銀行など保有株式取得機構の買い取り条件の見直しなどがあるためである。
今後の展望
冷夏の影響でスーパー、飲料メーカーの収益下方修正があったが、今のところ個人消費のマイナスが日本の景気回復を妨げる可能性は小さい。
むしろ、SARS騒動が解決した中国やイラク戦争後の米国をはじめ海外の景気がデフレから脱したという景況感の好転が日本の景気回復期待をより強めているといえそうだ。
なかでも設備投資は限界まで抑制してきた反動もあって、予想を上回る回復を見せている。いっぽうで、産業再生機構の第1号案件が決定され、不良債権処理から産業・企業再生への道筋が見えてきたほか、足元の株高などを受けた金融不安が解消されている。
そのため、今月もマクロの指標の改善度合いがより明らかになると、株式市場にプラスの影響を与えそうだ。
物色の動向
物色は引き続きバリュエーションを重視しながらも、内需中心の個別物色を提案したい。
景気回復の恩恵が大きい銀行や設備投資関連、値上げがユーザーに通りはじめた鉄鋼などが有望と思われる。
ただ、内外の年金資金をはじめ中・長期資金の日本株に流入しはじめており、全般的に底上げが進み出遅れ銘柄が少なくなってきた。そのため、技術力を生かせる可能性がある企業や差別化戦力を背景に高成長が期待できる企業、経営改革を推進し復活を遂げそうな企業を丹念に探し、投資していきたい。
終わりに
リスク要因は秋の政局と金利、イラク情勢だ。ただ、これらはマーケットに無難かつ徐々に織り込んでいくことも可能だろう。
むしろ、最大のリスクは当局が同じ過ちを繰り返さないか、ということにある。
すなわち、株高などによる景況感の改善を受けて、円高の容認や消費税引き上げや年金給付引き下げを早急に実現しようとする、あるいは銀行などに過度な業務命令を要求することであり、病み上がりを完治と思っては元も子もなくなる。 |
※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
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