八丁堀克美の株式勉強会
【投資戦略】

最終更新日:2003年10月9日

(平成15年10月3日)


平成15年10月の投資戦略

9月株式市場



 4〜6月の法人企業統計で設備投資が1年9ヶ月ぶりにプラスに転じ、4〜6月のGDP改定値が年率3.9%増に上方修正されたことで、日本の景気回復にたいする期待がより強まった。


 また、自民党総裁選挙で小泉総理の再選が確実視されたことや産業再生機構の支援企業が決定したため、株式市場全般は低位株や銀行株中心に活況が継続した。日経平均株価は9月19日に1万1,160円19銭の高値(ザラバベース)をつけ、わずか4ヶ月あまりで4割強も上昇した。


 しかし、株価が高値警戒感のなか、G7で「為替相場のさらなる柔軟性が望ましい」との声明を受けて1ドル=110円台までのドル安・円高が進行した。その結果、輸出企業の収益に与える影響を嫌気し、日経平均株価は22日に463円の大幅安、25日にはニューヨークや世界の株式市場の調整を受けて193円安となった。


 結局、日経平均株価の月足は5ヶ月ぶりの陰線となった。


10月の注目ポイント


 10月の株式市場のポイントは、第一に為替相場の動向だ。


 米国経済は拡大基調が続いているが、雇用回復の遅れや鉱工業生産の伸び悩みから拡大のテンポはやや鈍化。


 さらに、イラクの戦後処理問題でブッシュ政権は支持率低下から「ドル安による企業収益の回復」はある程度のドル安には好都合。


 また、米国の財政・貿易赤字の拡大が懸念材料となる。


 一方、今年9月末までの日銀介入額は13兆円を突破した。しかし、日本の貿易黒字は高水準であることや、日本への資金流入が徐々に強まっているため、当面はむしろ円高圧力が強まると思われる。


 ただ、5円の円高で今期・来期の経常利益予想は数%の下方修正にとどまることや、過去の円高局面は株安につながっていないことなどから、株式市場全般の押し下げ要因とは筆者は考えない。


 第二のポイントは、企業業績の回復だ。


 人件費を中心に固定費を削減した製造業の損益分岐点は低下し、不採算事業の撤退やコア事業への経営資源集中による成果が出た、あるいは出始めた企業が増えている。


 また、日本企業はデジタル家電・携帯電話の成長性で恩恵を受けそうだ。


 非製造業も一部の業種で収益回復がいまだ見られないが、「リストラから再成長路線」へ踏み出した企業もあるので、丹念に探していきたい。


物色の動向


 物色は先月と同様、景気回復の恩恵を受ける内需セクターが中心となりそうだ。


 代表例は銀行。りそなの再査定問題、投資家の多くがウエイトを引き上げをおこないつつあること、さらには短期テクニカル指標も過熱感があるものの、中・長期的な株価トレンドは上向きに転換したと考える。


 収益も、景気・企業業績の回復で不良債権の発生額が減少し、一部企業の資産区分が引き上げられた。三菱東京FGの9月中間期の最終益は当初見通しにたいし大幅に増加した模様だ。


 リメガバンクはリストラの余地が大きい。株価が最も低位であるみずほにも引き続き注目していきたい。


 その他の内需関連では、小売り、通信、運輸などが魅力的だ。


 最後に。新日鐵の名古屋製鉄所のガス爆発事故で、鉄鋼セクターの値上げ交渉はしばらく厳しい。しかし、中国の需要急増で中・長期的な鋼材需給の逼迫状態が続くと見られ、押し目買いを推奨する。

※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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