八丁堀克美の株式勉強会
【投資戦略】

最終更新日:2004年3月7日

(平成16年3月5日)


平成16年3月の投資戦略

2月の株式市場



 2月の株式市場は月末にかけて戻り歩調取りなり、27日の日経平均株価は1万1,041円92銭と1万1,000円の大台に乗せた。


 月前半から半ばにかけては、大手銀行への特別検査、陸上自衛隊主力部隊のサマワ入り、G7、そして昨年の10〜12月のGDP発表を前に105円台まで円高が進行するなど、全般的に様子見商状が広がった(2月2日には東証一部の売買代金が大発会以来の1兆円を割った)。


 しかし、G7で過度のドル安を牽制する文言があったほか、当局の執拗な介入で1$=109円台まで円安となったうえ、GDPや1月の鉱工業生産(前年比3.4%上昇)などの経済指標が良かったこと、そして第3四半期の決算が好調だったことを受け、米国株式市場が調整含みのなかで、内需関連株を中心として昨年来高値を更新する銘柄が相次いだ。


拡大している景気


 2002年1月の底打ちから、日本の景気は拡大を続けている。


 戦後の景気循環における拡張期間は平均で33ヶ月なので、この平均値を今回に単純に当てはめれば、今年の10月までとなる。


 しかし、バブル崩壊後3度目の今回は、より息の長く本格的なものとなる可能性がある。昨年10〜12月のGDPが前年比年率7%成長となり、米国(4%成長)を上回る伸びであった。2004年1〜3月にはその反動も予想されるが、長らく低迷していた民間設備投資が回復基調にある点が大きい。


 それは、日本企業がバランスシートの調整(借金返済)に大方の目処がつき、短期的な収益の回復もくわわって、設備投資をおこなう余裕ができた結果であろう。


 まだ、はっきりいう段階ではないが、民間部門の「構造改革」におけるデフレ脱却の始まりではないだろうか。


 また、商品市況の高騰を受けて、素材各社が相次いで値上げを打ち出している。中国の旺盛な需要にくわえて、供給力の絶対的な不足から徐々に値上げが通り始めている。


 政府・日銀の姿勢も景気回復の持続性を後押ししている。


株主重視経営


 個人株主に社長自身が積極的にIR活動をおこなう企業がある一方で、IRをおこなっていないだけでなく、(ホームページ上に質問コーナーがあるにもかかわらず)メールの質問にさえ回答しない企業もある。


 後者は、概して不良資産が乏しいのにPBRが1倍割れ水準にあるなど、株価水準が低い。


 足元では敵対的TOBや合併が盛んになっているうえに、持ち合い解消が今後もすすみ、2006年には外国企業との株式交換が認められると(現在は商法で国内企業に限る)、外国企業による日本企業の買収がより容易になる。


 増配を含めた株主重視経営が早急に必要となろう。


3月の株式市場


 3月の株式市場は、裁定算が再び積み上がるなかで迎える12日のSQや年度末など、株式需給面では不安が残る。


 さらに、中国全国人民代表大会(5日から)、米国大統領予備選とともにギリシャ総選挙(7日)、ロシア大統領選、スペイン両院選挙(14日)、台湾総統選挙(20日)、インドネシア、南ア、韓国総選挙(4月)、イラク統治問題もあり、政治から目が離せない。


 とはいえ、日本株の割安感から外国人買いが続き、予想以上に日本株は上昇する可能性がある。


 内需、外需にこだわらず、好業績で出遅れ感のある銘柄群の押し目買いで臨みたい。

※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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