八丁堀克美の株式勉強会
【投資戦略】

最終更新日:2004年6月7日

(平成16年6月2日)


平成16年6月の投資戦略

波乱だった5月の株式市場



 5月の株式市場は、波乱の展開となった。


 大型連休中に中東のテロ拡大、米兵によるイラク人虐待の発覚などの悪材料が続出した。さらには、米国金利が早期に引き上げられるのではないかとの観測から、株価は連休明け後も下げ止まらなかった。


 さらには、外国人の売りにくわえ、原油価格が13年ぶりの高水準に達したことから、日経平均株価は一時1万0,505円まで下げた。


 しかし、1〜3月のGDPの成長率が+5.6%(年率)と予想を大きく上回ったこと、米国の株高や外国人投資家が買い越しに転じたことなどから、日経平均株価は1万1,000円台を回復した。


 また、サウジの増産前倒し報道から原油価格が一服場面を迎えたことから、株価は戻り歩調に転じた。


 さらには、家計調査で消費支出が前年同月比7.2%増となったことや、4月の鉱工業生産指数が前年同月比3.3%増と高い伸びになったことから市場心理が好転し、日経平均株価は5月末には1万1,236円と1万1,000円台を回復した。


割安な日本の株式


 ところで、日経平均株価のPERは5月28日現在17.9倍と急低下し、日本株の割高感は解消された。むしろ、業績が好調ななかで、PER10倍台前半にある銘柄が相当数あり、順番に株価上昇する水準訂正も十分、ありうる。


 日・米・欧(ドイツ)の四半期ごとの実質GDP成長率を見ると、2003年第4四半期、2004年第1四半期の2期連続で、日本が一番高く、比較感から日本経済の見直しが強まりそうだ。


 また、製造業の設備投資は2004年度は9年ぶりの2桁増の見通しだ。


6月の株式市場


 とはいえ、米国や中国の金利引き上げや原油価格の高騰は、年末から来年にかけてじわじわと景気減速をもたらすだろう。しかし、金利引き上げがインフレ懸念や中国の過剰な投資を抑制するものであれば、それは景気のソフトランディングを実現するものとなるだろう。


 もし5月に波乱した株式市場が、悪材料を一旦は織り込んだものだとすれば、今後の懸念要因の薄れが株価の戻りを誘いそうだ。当面は、原油価格の高騰がどのように沈静化するかに期待がかかり、6月のOPEC総会やイラクの主権委譲が注目されることになろう。


銘柄選択の視点


 このような原油価格が堅調に推移すれば、石油の代替エネルギー関連銘柄が注目されるだろう。その他では、液晶関連に注目していきたい。

※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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