八丁堀克美の株式勉強会
【投資戦略】

最終更新日:2004年8月7日

(平成16年8月4日)


平成16年8月の投資戦略

7月の株式市場



 東京では7月6日から月末まで連続して真夏日を記録し、猛暑関連株はやや賑わったものの、7月の株価は大きく下げた。


 大企業製造判断DIがプラス22とバブル崩壊後で最高水準となった日銀短観発表日(1日)が、皮肉にも日経平均株価の高値となった。翌日の2日には東証一部の売買高が2月以来、実に87日ぶりに10億株割れとなり、下落が加速した。


 自民党惨敗の11日の参議院選挙後も小泉政権は維持され、一時的な反発局面はあったものの、ナスダック株などの下げに引きずられ、ハイテク株の下落が目立ったほか、新興市場銘柄が急落した。


 月末には、原油が急騰したことや、三菱東京FGとUFJとの統合に待ったがかかったことから、日経平均株価は一時下値支持線の200日移動平均線を割り込んだ。


株価調整の理由の一つは景気減速・業績悪化懸念だが


 ここ1ヶ月の株価調整に主要因の一つは、今下期以降の景気減速および業績悪化懸念だが、株式市場はこの悲観的な部分をかなり織り込んだように思える。


 東証一部の予想PERは17倍強、高プレミアムの代表株のようにいわれたハイテク株、例えば東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)は15倍前後、NEC(6701)や富士通(6702)でも20倍割れまで低下している。


 また、東証一部のPBR1倍割れ銘柄も7月末現在でいまだに490銘柄存在しているし、手元流動性や資産価値と比較して、時価総額が小さく買収リスクを感じている日本企業は案外多い。足元発表されている第1四半期の業績も上方修正含みだ。


 日本企業は減速しつつも2005年度も実質2%強の成長が続く見通し(政府発表)であることや、金融機関の不良債権処理の進展、遅れていた非製造業の資産効率の改善など、構造改革要因がプラスに働いていることが大きい。外国人投資家の買い越し継続もまさにそこにある。


 また、キャノンのように、すべての主力事業で世界No.1のシェアをとり、真のグローバル優良企業を実現しつつある企業の誕生は頼もしいかぎりだ。


悪化している個人投資家のセンチメント


 もっとも、外国人とともに株式市場の上昇を牽引してきた個人投資家のセンチメントはかなり悪化している。


 個人が積極的に手がけた新興市場銘柄の急落は5月半ばにもあったが、新規上場銘柄が活況を呈したうえ、ライブドア効果(近鉄球団の買収で名乗りを上げ、株価は急騰した)などもあって立ち直ったかに思えた矢先の急落だった。


 一方で、3市場の信用買残は今年の5月7日のピークに接近し、評価損益も10%を下回り(7月23日現在)、しばらくは処分売りが続く可能性が高い。


 ただ、これからの日本経済を支えるのはある意味で中小企業だ。また、再生ファンドなどの動きは一段と活発化している。新興市場は、本来の成長銘柄を探しながら選別投資していく動きがいっそう強まるだろう。


今後の株式市場


 今後の株式市場を占ううえでの注意点は原油価格だ。


 ロシアの大手石油会社ココスの問題を含め原油需給逼迫懸念が強まり、ニューヨークでは7月30に44ドル弱まで一時急騰した。


 夏場は需要期で投機的な動きが加速しているほか、米国大統領選挙を前に原油高を押さえる施策が打ち出される可能性もあるものの、2004年の世界石油需要は前年比249万バレル増の日量8,141万バレル、2005年には中国の需要増でさらに日量182万バレル増加するIEAの予測がある。注意が必要だ。


最後に



 8月はサマー・バケーション入りの投資家も多く、13日のアテネ・オリンピックの開催もあって低迷を予測する向きが多いようだ。


 しかし、10日に米FOMC、13日に国内第2四半期のGDP統計の発表があり、再上昇の転換点となりうる。


 いずれにせよ、中・長期での強気スタンスを維持したい。

※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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