八丁堀克美の株式勉強会
【投資戦略】

月1度発表している投資戦略です。ご自身の投資方針の参考としてご活用いただければ、幸いです。
最終更新日:2006年12月10日

(平成18年12月8日)


平成18年12月の投資戦略


11月の株式市場


 11月の日本株式市場は、10月後半の流れが続き、調整局面が続いた。20日には日経平均が1万5615.56円の安値を付けた他、TOPIXも1526ポイント、日経ジャスダック平均が22日に、東証マザーズ指数が21日にそれぞれ安値を付けた。NYダウが市場最高値を更新し、インド、ブラジル、ロシアといった新興市場も概ね好調だったのにたいし、日本株の独歩安商状であった。29日に発表の10月鉱工業生産指数(速報)が前月比1.6%上昇、予想を上回る内容だったことで買いが入り、11月末には日経平均が1万6274円まで回復、直近の下げ幅の半値を戻した。


独歩安の日本株


 日本株の独歩安商状の要因は一体、なんであろうか。北朝鮮リスクや米ブッシュ政権の信頼低下、安倍内閣の政策に対する不安といった政治絡みの問題。そして米国景気の不透明感、戦後最長のいざなぎ景気57ヶ月超えであっても、7〜9月のGDPに見られるように個人消費が落ち込み、国内景気の減速懸念が広まったとか、日銀の早期利上げ観測とか、ドル安・円高リスクとか、証券税制の見直し(増税)とか、企業収益が慎重な見通しだったという問題、また外人投資家の売り、裁定解消買い残の多さ、新興市場の急落による個人投資家の買い余力低下といった需給面の問題等を挙げれば、数限りない。


今後の株式市場


 とはいえ、どの要因も今振り返ればもっともらしく聞こえるし、その時々でかなりの悪影響を与えたのも事実かもしれない。ただ、これらの見えている悪材料は、10月及び11月の調整相場で徐々に織り込まれてきた感があり、まだ、変動要因も多いが、株価の底固めは終了し、戻りを試す展開となるのではないか、と筆者は予想している。


 もっとも、新興市場を始めとした急落の影響は個人投資家中心に依然として残り、今年度中に日経平均が1万7000円に到達し、1万7500円を超えるには難しいと思われる。ただ、第3四半期までの控えめとも見える企業収益が上方修正されてくれば、株価の割安感が徐々に認識されるであろう。最近、再び人気化している新日鉄などの大手鉄鋼株の予想PERは依然として十数倍程度、高水準の利益率を生み出す会社のPERがこの程度なら、割高感があるとは誰もいえないのではないかと思う。


 また、「貯蓄から投資へ」という大きな流れを打ち消すような証券税制の改悪がなければ、配当利回りから株価の下支えが見られると思われる。

※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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