八丁堀克美の株式勉強会
【投資戦略】

最終更新日:2003年11月9日

(平成15年11月5日)


平成15年11月の投資戦略

10月株式市場



 10月20日に日経平均株価は1万1,161円(終値ベース)の高値を付けたが、23日には一転して今年最大の下げ幅(554円)となるなど、10月の株式市場は高値波乱の動きとなった。


 月初旬から半ばでは、大手銀行株、証券株、IT関連株を中心に内需関連株全般が大にぎわいを演じたほか、ジャスダック、大証ヘラクレス、東証マザーズ上場の小型株が急騰した。しかし、急騰ピッチの上げにたいする警戒感や利食い売り、円高懸念もあって、後半には調整し、10月の日経平均株価は1万0,559円となった。


来年の注目ポイント


 さて、今年も当てのこり2ヶ月なので、そろそろ来年の株式市場の見通しなどを展望し、来年の「株式市場のテーマ」を考えてみたい。


 まず第一に、「液晶関連」。


 液晶ディスプレイは従来、ノートパソコン向けが主力だった。しかし、昨年からはパソコンモニター用に、そして今年からはテレビ向けに液晶テレビが急速に普及。


 2003年の液晶テレビは、350万台から400万台程度と見られるが、2005年には1,500万台から2,000万台、2010年には9,000万台から10,500万台に拡大するとの試算がある。液晶で先行しているシャープや需要増に対応する設備投資関連業界に注目する。


 また、液晶テレビの大型化が進行。そのため、広い視野角、低反射、高輝度、高コントラスト、高速対応が要求されるようになり、ガラス、偏向フィルム、表面保護フィルムなどの材料メーカーも大きなビジネスチャンスがありそうだ。


 さらに、デジタル家電や通信との融合化によって、「ハイテク関連株」の業績を支えよう。


 テーマの二番目は、「デフレ脱却からリフレへ」


 日銀は経済物価の展望リポートで、2004年度の消費者物価の大勢見通しは前年比マイナス、とデフレ基調継続を予想、量的緩和を堅持する方針を表明した。


 ただし、米国の7〜9月の実質GDPが7.2%の高成長となったほか、中国、アジア景気の好調に支えられ、日本の景気回復は本物のになりつつある。


 そのなかで、日銀は急激な金利上昇を阻止する姿勢を示したもので、むしろデフレからの脱却、リスレ期への対応とも読みとれる。実際、CRB指数や金価格はイラク戦争後も着実に値を切り上げている。


 これは中国が2001年11月にWTOに加盟、一大消費地が誕生した点も大きい。そこでは、鉄鋼、非鉄金属をはじめとした素材関連に恩恵が大きいと思われる。


 三番目のテーマは「再編加速」だ。


 花王とカネボウの化粧品事業の統合は業界関係者を驚かせるニュースだった。グローバル化、競争激化のなかでは、より効果的な再編をおこなわないと生き残れない。ソニーが出遅れた分野でサムスンと提携したようにだ。


 来年は従来の枠組みを超えた編成が、医薬品、食品、建設、流通、電気業界などで出てくるだろう。


年末にかけての動向


 11月は年末にむけての仕込み局面と判断したい。


 中間決算の内容は、多少ポジティブ・サプライズにとどまり、また9日の衆議院選挙は今のところ与党が安定多数を獲得する勢いとの報道だ。が、投票率によっては激変がある可能性もあり、様子見材料になりうる。


 しかし、日米好局の金融緩和継続スタンス、株式需給関係の良好さ、米国のファンダメンタルズの改善、半導体などのハイテク環境の好転が株価を押し上げそうだ。

※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


↑ページトップに戻る↑

↑前月号へ↑
八丁堀克美の株式勉強会 http://8katsumi.sakura.ne.jp/
katsumi8@mwc.biglobe.ne.jp
copyright:Hacchobori Katsumi
since 1997