八丁堀克美の株式勉強会
【投資戦略】

最終更新日:2003年12月6日

(平成15年12月3日)


平成15年12月の投資戦略

11月の株式市場



 11月の株式市場は調整色の強い展開となった。


 9日の衆議院選挙は与党が何とか安定多数を確保したものの、民主党が躍進した。また、米国株の一時的な調整、イラク情勢の悪化、外国人投資家の様子見姿勢、ソフトバンクや新興市場銘柄の一部急落をきっかけに個人投資家の見切り売りが出て、17日に日経平均株価は3ヶ月ぶりに1万円の大台を割り込んだ。


 ただ、短期的ながら値幅調整が大きく進んだことで、底打ち感が台頭し、9月中間期の決算も概ね好調だったこともあって、28日の日経平均株価は1万0,100円57銭と1万円の大台を回復して取引を終えた。


腰の強い相場


 地方銀行大手の足利銀行の破綻処理が決定された。投入される金額は1兆円を超える見通しだ。


 2002年4月からペイオフの一部凍結が解除された後の、初の銀行破綻となる。9月中間期で債務超過、既存の足利銀行株はゼロ円で国に強制取得された。株主責任が問われなかった5月の「りそな」とは異なる処理となった。


 そのため、足利銀行の処理問題で現在の「モラルハザード相場」が転機を迎え、相場全体に下押し圧力が加わると行った見方もある。しかし、それは誤りだろう。


 4月から10月20日の上昇相場において、昨年末に180銘柄以上合った東証一部の100円未満の銘柄は10月20日に15銘柄を下回るほど(11月末では再び40銘柄以上に増加した)、全般的な低位株の底上げがあったことも事実だ。しかし、株価上昇の主因は、約10円の円高にもかかわらず、大手銀行グループや鉄鋼をはじめとして(この2セクターの今中間期の決算内容を評価したい)、非鉄、機械、電機などの日本企業の業績急回復があったからだ。


 世界経済の牽引役である米国のIT投資や消費が回復しているうえ、中国の高成長による輸出の拡大、国内景気の回復、リストラの進展、デジタル家電のヒットなど、諸要因が重なっての業績回復である。ITバブル期とくらべて腰が強いといえそうだ。


 一方で、東証一部の全銘柄の配当利回りは1.24%、予想PERは23.6倍(11月28日現在)とバリュエーション面で割安感があると考えられる。


 また、米国の足元のクリスマス商戦の好調、来年2〜5月の税還付による効果があって、来年前半の米国景気は好調が持続しよう。国内景気も来年全半までは回復が続きそうだ。


 ミクロ面から見ても、12月1日から3大都市圏の一部で地上波デジタル放送が開始されることや、価格低下によって液晶テレビ、PDP、デジカメ、DVDなどのデジタル家電製品群の販売好調が、株価の刺激材料となりそうだ。


年末の動向


 12月はクリスマス、年末・年始休暇を控えて、外国人投資家の売買が手控えられる可能性があること、小型株に業績の下方修正が出てきたこと、イラク情勢など、不安材料が増加しつつあるのも事実だ。


 しかし、短期的な調整リスクに備えながら、中・長期的な視点で押し目買い方針で望みたい。

※これは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資の最終判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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