10月の相場見通し
最近の株式市場
9月の日本株は月初に強い局面があったものの、全般的に軟調な状況が続いた。特に新興市場株は弱く、見切り売りが続いたようだ。ただ、安倍新首相の誕生による政策期待から、月末にかけて持ち直すところもあった(日経平均は1万6000円台を回復)が、上値は重かった。
10月に入り、NYダウが史上最高値を更新、先物主導で乱高下を繰り返すものの、徐々に投資マインドが改善しているようで、日経平均は16400円台を付けた。
今後の株式市場
10月はご存知の通り、2000年以降、尤もパフォーマンスの悪い月のようである。それは、日本株の牽引役である外国人投資家の買い控えによるものが大きいようで、今年もその可能性がある。また、信用の4月の高値期日が到来する(メガバンク株が代表だろう)なかで、個人投資家の状況も厳しく、出来高が増加しない点も気がかりである。北朝鮮問題もリスク要因となりそう。
ただし、足元のセンチメントは日経平均等の指数以上に良くないものの、取り巻く環境は徐々に好転しており、下値を切り上げてくると思われる。
2日に発表された日銀短観では、大企業・製造業DIが24で、事前予想からの3ポイント上ぶれとなった。先行き(12月)は21と3ポイントの悪化であったが、米国景気の減速や原材料価格の上昇等の影響を受けたと思われる。しかし設備投資計画は下期が上方修正された他、売上・収益計画も年間で上方修正されている。
米国景気の先行きに対しては、強弱感が対立しているようである。しかし、世界の景気に関しては、9月13日発表のIMF経済見通しが多少参考になるかもしれない。
それによれば、世界の実質経済成長率は、途上国全体が前回見通し(4月時点)から2006年が0.4%、2007年が0.6%それぞれ上方修正されたため、2006年および2007年も0.2%上方修正された(2006年の成長率は5.1%、2007年は4.9%)。ただ、日本については2006年を0.1%下方修正し、デフレに後戻りするリスクを指摘している。確かに、先月までの米国景気減速懸念、原油価格高騰などをはじめとした商品市況の急騰によるインフレ懸念が出てくれば、様々なリスクが出てくるであろう。
ただ、足元原油価格は急落し、商品市況全般も落ち着いている。また、NYダウは史上最高値を更新、新興市場の株価も堅調であり、センチメントは随分と改善してきたと言えそうだ。また、日本では安倍新政権が誕生した。今後の施策はこれから明らかになろうが、少なくともデフレ懸念の再燃は杞憂に終わる可能性が高いのではないだろうか。
現在、2月決算企業(小売セクター中心)、そして10月後半からは3月期決算企業の中間決算発表が本格化してくる。そこでは、売上の上ブレ、円安効果などで、上方修正や好決算が相次ぐと思われる。そのため、外国人投資家の日本株に対する関心も再び増加するだろう。
投資のポイント
信用期日、ヘッジファンドの動き、裁定買残の積上がり等、需給面での不安要因は多いが、徐々に下値を固め、日経平均が4月高値に挑戦する局面の兆しが、この10月中に見られるかもしれない。そのため、上値を買わずに、丹念に下値を拾うスタンスで臨みたい。
物色は、足元国際優良株中心の2局化の様相を強めている。しかし、高値期日を通過すれば、銀行セクターから徐々に幅広く買われる可能性がありそうで、バリュエーションを重視した投資スタンスもチャンスが出てきそうだ。
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